厚生労働省は、橋梁の塗料や石綿を含有する建築用仕上げ塗材の除去作業で、剥離剤に含まれる化学物質の引火による火災や、吸入に伴う中毒といった労働災害が頻発していることを受けて、作業時に講じるべき措置をまとめた。ベンジルアルコールをはじめ、特定化学物質障害予防規則(特化則)の対象となっていない化学物質であっても一定の健康障害防止措置を取るよう求めている。地方公共団体などの工事発注者、受注者の関係団体に通知した。
通知では、剥離剤を安全に取り扱うため、安全データシート(SDS)の記載事項を確認するとともに、もし添付されていない場合は販売店・メーカーから取り寄せるよう明記。
さらに、ばく露防止措置として、特化則の規制対象の場合は法令に沿った措置を確実に実施するよう改めて求めた。規制対象となっていなくてもSDSを参考に暴露防止を実施するとともに、SDSを入手できない場合は危険有害性を含有するとみなし、防毒マスクや保護手袋などの保護具の使用を促している。
剥離剤に含まれる主要な化学物質であるベンジルアルコール、ジクロロメタンについては▽送気マスク、防毒マスク▽保護めがね、保護衣、保護手袋、保護長靴▽排気装置の設置―などの具体的な措置を示した。
厚労省はこうした化学物質による労災の事例として▽ベンジルアルコール含有の剥離剤による橋梁塗膜の除去での火災発生▽屋内タイルカーペットの張り替えで、ジクロロメタン含有の剥離剤を使用した際に中毒となり失神―を併せて示した。