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2月14日に「社会保険加入セミナー」を開催

社保未加入問題に迫る!(2)  特定社会保険労務士 杉山 晃浩氏

 従業員の社会保険加入手続きをしなければならない基準があるのを知っていますか。この基準は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険でそれぞれの労働時間や労働契約期間によって異なっています。労災保険においては、下請企業の従業員か一人親方かで、大きくその取扱いが異なります。

 もしも元請企業や二次下請企業の人事担当者がこれらのことを知らなければ、社会保険の加入手続きを正しく行うことができません。その結果、不適正な作業員名簿を作成してしまうかもしれません。

 国土交通省では、雇用と請負の明確化を徹底するために、次の方針を徹底させています。

1)労働者である社員と請負関係にある者を明確に区分する
2)労働者である社員については保険加入を適切に行う
3)施工体制台帳、作業員名簿において、1)の関係を適切に反映させる

 「社会保険加入に関する下請指導ガイドライン」には、その理由が次のように書かれています。『事業主が労務関係諸経費の削減を意図して、これまで雇用関係にあった労働者を対象に個人事業主として請負契約を結ぶことは、たとえ請負契約の形式であっても実態が雇用労働者であれば、偽装請負として職業安定法等の労働関係法令に抵触するおそれがある。』

 例えば、個人事業主である一人親方を、会社の専属の職人として契約し、1日7時間30分の実働として、実働時間に応じて日当が支払われているケースを目にすることがあります。会社によっては、残業1時間当たり、1千円を支払っている場合もあります。

 このような働き方をしている一人親方は、労働者としての働き方に近い一人親方として認識される場合があります。年金事務所の調査においてそのように判断されれば、最長2年間に遡って、社会保険の加入手続きをしなければならないことも考えられます。もしも弊所に2年間を遡る社会保険手続きを依頼された場合、多くの確認事項が必要となるため、工数が多い分、高額な手数料が必要となります。さらに、遡った社会保険料と最大14.6%の延滞金が、一気に会社の銀行口座から引き去りされてしまいます。その後、会社は、一人親方から本人負担分の社会保険料を回収しなければなりません。本人負担分の社会保険料は、2年間に支払った外注費の約15%相当にあたりますから、相当な高額になることは容易に予想されます。すなわち、回収に困難が伴うため、会社は資金ショートをおこし、倒産する可能性すら否定できなくなるのです。

 そうならないためにも、今のうちから事前準備を始めてみませんか。

(おわり)

 社会保険加入等に関する問合せは、合資会社オフィススギヤマ・電話0985-38-1418番まで。

 なお、来たる2月14日(火)の午後7時から90分間、「社会保険加入セミナー」をオフィススギヤマのMIYAZAKIベース(宮崎市吉村町寺ノ前甲2882-184)で開催する。「建設新聞」購読者は受講料無料。定員は先着順で14名。申込み・問合せは、0985-38-5555(担当:佐々木)まで。