国土交通省九州地方整備局は7月29日、2020年度の第1回事業評価監視委員会を開催した。会合では、道路1事業、港湾2事業の再評価を行い、各事業を継続することを委員が了承。このうち、国道10号都城道路Ⅱ期に関しては、区間内に架設する橋梁の構造見直しなどに伴い、事業費を98億円増額することを説明した。
事業評価監視委員会は、公共事業の効率性や透明性の向上を図るため、事業採択後3年が経過して未着工の事業や事業採択後5年が経過して継続中の事業、再評価実施後に5年が経過した事業、社会経済情勢の急激な変化や技術革新等で再評価の実施の必要性が生じた事業などを対象に、事業継続の可否を審議するもの。
今会合では、本県の一般国道10号都城道路Ⅱ期のほか、下関港新港地区国際物流ターミナル整備事業(山口県)、大分港西大分地区複合一貫輸送ターミナル改良事業(大分県)の再評価を実施。事務局が各事業の必要性や進捗状況、当初計画からの変更箇所等を説明し、対応方針の原案どおり、事業を継続することを了承した。
このうち都城道路Ⅱ期(5・7㎞)は、地域高規格道路「都城志布志道路」の一部として、都城IC~志布志港を結ぶ広域ネットワークを形成し、都城市街地の交通混雑緩和等を目的とした完成4車線の自動車専用道路。07年度に事業化され、12年度から用地買収に着手し、16年度から橋梁及び改良工事等を推進している。
今回の事業評価では、前回評価時に約160億円としていた事業費に関して、橋梁構造の見直しや函渠の追加、農業用パイプラインの移設延長の追加、盛土材の追加改良対策に伴い、事業費を98億円増額して約258億円とすることを説明した。
橋梁構造の見直しでは、河川整備計画の変更に伴い、橋梁延長を当初の148mから265mに変更する必要が生じた大淀川橋梁に約32億円を増額。国道221号の視認性向上のため、橋梁の延伸(上り線38・5m→72m、下り線36m→85m)やオフランプ橋(61m)の追加が生じた太郎坊橋梁に約30億円を増額する。
農業用パイプラインに関しては、土地改良区との協議で移設ルートの変更が生じ、延長が450mから700mに増加したことや、公安委員会との協議でランプ近接による交差点間距離について指摘があり、ICの形状を見直した結果、移設延長が460m増加したことから、これに伴う費用として約10億円を増額する。
また、当初の計画では横断箇所(函渠)を12箇所に集約し、機能復旧のための側道を整備することとしていたが、農業用道路と生活道路の分離、農業用道路分断による作業効率の低下、農業用配水路の流速低下に伴う末端田畑の水量減少が懸念されることから、新たに函渠8箇所の整備を追加し、事業費を約17億円を増額する。
このほか、当該工区及び隣接工区の切土による建設発生土を活用した盛土材(約27万m3)について、土質試験を行った結果、シラスとの攪拌混合処理が必要となったため、これに伴う費用として約10億円を増額する。一方で、計画盛土量のうち不足する土量の一部を他事業から流用することで、約1億円のコスト縮減を図る。
九州地方整備局では、都城志布志道路の一部を形成する当該工区の整備に伴い、全国有数の畜産地域である都城市の畜産業の更なる振興、都城市街地部の交通混雑の緩和や交通安全の向上、高次医療施設へのアクセス強化や医療連携の強化、台風等の豪雨時における代替路としての機能確保といった効果が発現することを期待している。