国土交通省は、2020年度から直轄工事に適用するICT施工の技術基準類に民間からの提案を初めて採用した。空中写真測量に使用するUAVの技術開発に合わせてICT土工の出来形管理に必要な地上標定点の省略を認める他、レーザースキャナーを搭載した建設機械によって施工と出来形計測を一体で行うことも認める。ICT施工の対象として「ICT地盤改良工(深層混合処理工)」など3工種も追加する。
3月26日までに20年度から適用するICT関連の技術基準類を決定した。施工者やメーカーからの提案を踏まえて基準を改定する試みは、19年度に初めて実施したもので、20年度以降も提案を受け付け、ICT関連の新技術導入やICT施工の改善につなげる。
UAVを活用した空中写真測量では、計測精度を確保するために計測範囲の周囲に地上標定点を設置する必要がある。出来形管理要領(土工編)の改定により、自己位置を高い精度で計測できるUAVを利用する場合は、100㍍間隔で設置する標定点の削減を認める。
バックホウにレーザースキャナーを搭載し、施工と出来形計測を一体で行う新技術の導入も認める。オペレーターが面的な出来形を把握できるため、施工段階ごとの出来形確認が省略できる他、施工中に計測した点群データから出来形管理資料を作成できるようになる。
ICT施工の新たな工種として、「ICT地盤改良工(深層混合処理工)」「ICT法面工(吹付法枠工)」「ICT舗装工(修繕工)」の3工種を追加する。
このうち、ICT舗装工(修繕工)では、施工前の現況測量にレーザースキャナーなどを使用し、交通規制の削減や施工時間の短縮を実現。切削深さの出来形管理に施工履歴データを活用した場合には、工事成績や総合評価でのインセンティブも与える。
この他、BIM/CIM関連では、「BIM/CIM活用ガイドライン」を新たに制定し、本格運用に向けて3次元モデルの活用する視点でガイドラインを再整理した。「CIM導入ガイドライン」も見直し、作成する3次元モデルの属性情報や詳細度の目安を明確にした。