▲ウェブ講義を行うデミーとマツ
新型コロナウイルス感染症対策により多くの児童が自宅待機を余儀なくされる中、子供たちに土木を伝える活動を展開する〝噂の土木応援チームデミーとマツ〟の2人は3月11日、インターネットを利用したウェブ講義『土木・防災キッズアカデミー~東日本大震災から9年』を緊急開催。長崎・宮崎・神奈川・千葉の4県7カ所の児童館や家庭と結び100人以上の小学生らが学んだ。
デミー(出水享・長崎大学技術職員)は、土木と建築の違いや、土木の役割などを説明をした上で、〝100の診療所より1本の用水路を〟の想いの下、アフガニスタンで活動を続けた中村哲医師も紹介。そして「土木工学は英語でシビルエンジニアリング。みんなのための技術と言う意味。事故や災害を防いだり、快適な生活の実現を目指す『優しさを形に変える仕事』」と説明した。
一方、マツ(松永昭吾インフラ・ラボ代表取締役)は、東日本大震災や熊本地震、九州北部豪雨などの被害や建設業の対応を紹介。「災害は同じ場所で繰り返し起こる。まちの歴史を調べたり、おじいさん・おばあさんから話を聞いて災害に備えてほしい」と語り掛けた。また「どうして地震は起こるの」との質問に対し、プレートの動きなど多くの図を利用してメカニズムを説明。その後、東日本大震災が発生した午後2時46分のサイレンに合わせて参加者全員で黙とうし、講義を終了した。
受講した児童は「東日本大震災は生まれる前の出来事。家に帰ったら家族に講義の話をします」や「日常生活の中で土木に興味を持っていきたい」などと、画面を通じて感想を伝えていた。
この講義は、ビデオ会議ができるアプリケーションソフト『ZOOM』を利用し、長崎大学の会議室と、長崎・宮崎・神奈川・千葉県内の7カ所の児童館や家庭とを結んで実施。受講者はパソコンやスマートフォンの画面で、パワーポイントや写真などの資料を見ながら説明を受けるとともに、質問を投げかけるなど双方向の講義を行った。
デミーとマツは、(一社)ツタワルドボクのメンバーである2人の博士(工学)が、土木の大切さや魅力をボランティアで伝えるために2016年に結成。活動内容が評価され、土木学会の土木広報大賞を2年連続で受賞している。(地方建設専門紙の会・建設新聞社)