日南市は、一般会計予算額を274億3000万円とする2020年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比で14億3000万円(5.5%)の増額となる。このうち、公共事業費等を含む投資的経費は30億6283万円。防災行政無線デジタル化整備事業や旧庁舎を解体する新庁舎建設事業等を盛り込み、前年度比で6億5132万円(27.0%)の大幅増となった。
20年度当初予算は、現行の重点戦略プランの基本施策を軸とし、SDGsが掲げる「『誰一人取り残さない』持続可能な社会を目指して」を中期ビジョンとする新たな重点戦略プランも視野に入れた事業を実施する。この計画のコンセプトである「創客創人」を戦略的に推進するとともに、財政に配慮した予算の編成を行った。
一般会計予算額は前年度比5.5%増の274億3000万円。簡易水道や漁業集落排水、公設合併処理浄化槽等を含む特別会計の総額は149億2600万円(同0.4%減)、公共下水道事業や水道事業等を含む企業会計の総額は64億9511万円(同5.1%増)で、予算全体の規模は488億5111万円(同3.6%増)となる。
一般会計を性質別に見ると、普通建設事業と災害復旧事業で構成する投資的経費は30億6283万円で、前年度比6億5132万円(27.0%)の増額となった。内訳は、普通建設事業費が28億3868万円(補助5億3675万円、単独23億0193万円)で同29.2%増、災害復旧事業費が前年度と概ね同額の2億2415万円。
主な建設関連事業では、防災行政無線デジタル化整備事業に7億6515万円、(仮称)道の駅北郷整備事業に2億7924万円、新庁舎建設事業に3億1862万円、市営住宅長寿命化事業に9930万円、市道橋りょう長寿命化事業に1億6850万円、日南下水終末処理場等水処理施設整備に4億1100万円を充てる。
■主要事業概要
日南市の20年度当初予算案における新規・重点施策等の概要は次のとおり(関係分のみ、数字は事業費、単位=千円)。
*一般会計
▽防災行政無線デジタル化整備事業
765,154
総務省の規則改正に伴い、22年12月から施行される新たな電波の規格に対応する防災行政無線の整備を図る。事業内容=防災行政無線整備工事393,300千円、戸別受信機購入費367,200千円、設計監理委託4,654千円
▽(新)(仮称)道の駅北郷整備事業
279,248
東九州自動車道清武南IC~日南北郷ICの22年度開通に合わせて、交流人口の増加や雇用創出に繋がる道の駅の整備を行う。事業内容=既存施設解体工事249,535千円、地質調査及び実施設計業務委託等29,713千円
▽有害鳥獣被害防止対策事業
30,877
有害鳥獣から農作物を守るため、有害鳥獣駆除を行う有害鳥獣駆対策協議会への支援及びICTシステム導入事業に対して助成を行う。
▽(新)種子島周辺漁業対策事業
69,271
JAXAによるロケット打ち上げが種子島周辺漁港に及ぼす影響に対処するため、漁家経営の安定等を図る目的で実施する水産加工施設改修事業に対して支援を行う。事業対象=外浦漁協水産加工施設改修事業、日南市漁協大堂津水産加工施設改修事業
▽飫肥城由緒施設管理費
63,098
市の歴史と文化を代表する由緒施設の維持管理や情報発信等を行う。また、歴史資料館及び小村記念館の資料展示リニューアルに向けた計画の策定を行う。
▽飫肥のまち再興プロジェクト事業
13,208
各種団体や民間企業等による連絡会議を設立し、飫肥地区の未利用施設再生に向けた取り組みや更なる観光振興・商店街振興に向けた取り組みを展開する。
▽新庁舎建設事業
318,624
高い耐震性や安全性を確保し、十分な行政サービスの提供と市民ニーズに対応するため、22年度末の完成を目標として新庁舎の建設に取り組む。事業内容=庁舎解体工事等171,670千円、新庁舎実施設計委託料99,400千円、賃借料(プレハブ等)28,720千円、建築確認申請手数料等18,834千円
▽中山間地域等直接支払交付事業
45,436
中山間地域に於いて、耕作放棄地の防止や多面的機能の確保など、適正な農業生産活動の推進を図るため、営農活動に取り組む集落に対して助成する。
▽基幹水利施設ストックマネジメント事業
12,000
幹線用水路改修の県営事業(東郷地区水路断面補修)に対する負担金。
▽(新)地下排水制御システム(フォアス)整備事業
3,500
地下水の排水不良による湿田を解消し、水田の汎用化による土地利用型農業の導入を図るための県営事業(向田吉野方地区測量試験費)に対する負担金。
▽飫肥杉マイホーム建築支援事業
13,020
旧消防訓練場跡地に飫肥杉住宅を建築する施主に対し、住宅見学会の開催を条件として建築費用の一部を助成する。
▽森林環境譲与税活用事業
85,870
森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設された森林環境譲与税の使途に対応する経費。飫肥杉材利用促進対策事業2,146千円、森林経営管理制度推進事業11,733千円、前同(基金積立金)66,242千円外
▽公有林整備事業
53,537
市有林の循環型森林経営を維持するため、伐採・植栽・下刈等の森林施業を適切に実施する。持続可能な森林として、緑の循環認証会議(SGEC)の森林認証を取得したことから、森林認証制度に基づく定期審査を受ける。
▽(新)油津港第一突堤広場及び周辺施設管理事業
1,734
県が整備を行い、20年度から管理を移管される油津港第一突堤広場と関連施設(トイレ・植栽等)の維持管理を行う。
▽漁港事業負担金
39,600
市内漁港改修等の県営事業に対する負担金。対象事業=油津漁港防波堤改良工事、大堂津漁港防波堤改良工事、目井津漁港機能診断業務、鶯巣漁港泊地浚渫、宮浦漁港泊地浚渫・防波堤機能診断
▽企業誘致促進事業
45,910
企業誘致や企業立地活動の積極的な推進を図るため、企業立地促進条例に基づき雇用促進奨励金等を支給する。
▽油津港クルーズ船ファーストポート受入支援事業
2,915
外国クルーズ船の寄港増加を図るため、油津東埠頭の有害生物(蚊・ねずみ)モニタリングトラップ設置を行う。
▽小・中学校施設整備事業
26,300
小学校及び中学校施設の老朽化や突発的対応に要する修繕料(小学校16,000千円、中学校10,300千円)。
▽伝統的建造物群保存事業
38,532
飫肥伝統的建造物群保存地区内の建造物等の修理・修景を行う。事業内容=旧郵便局長官舎跡地修理・修景補助、郡司家主屋修景補助、宮川家主屋・車庫修景補助
▽葬祭場整備事業
70,100
葬祭場の3炉ある火葬炉の老朽化に伴い、20年度から22年度までに1炉ずつ年次的に更新する。
▽ふるさと回帰支援事業
9,692
移住相談窓口を通じた様々な情報発信や都市部での移住相談会、国・県の事業を活用した移住支援金により、移住・定住の促進を図る。
▽空き家利活用促進事業
4,533
空き家カウンセラーを配置し、地域の空き家情報の掘り起こしや活用したい人とのマッチング体制づくりを行う。
▽竹香園さくら再生事業
1,520
枯れ木の目立つ竹香園の桜を伐採・撤去し、新たな幼木を植樹する。
▽市営住宅長寿命化事業
99,301
既存住宅の延命化と社会的弱者の住宅ニーズ動向に対応するため、市営住宅の改修を行う。対象住宅=松原第9アパート(30戸)、事業内容=間取りの変更、住戸内段差解消、設備改修、屋上防水改修等
▽水質浄化対策事業
5,411
下水道全体計画区域のうち下水道事業計画区域外の住宅等に浄化槽を設置する場合に補助金を交付する。
▽南郷地区都市下水路維持事業
959
都市下水路の適正な維持管理を実施する。
▽環境衛生対策事業
1,193
地元組合が管理運営している小規模給水施設(26施設)の水質検査及び施設改善を実施する。
▽津波対策緊急整備事業
50,827
津波緊急避難場所等の整備や維持管理を実施する。事業内容=津波緊急避難場所整備(目井津)、避難誘導標識設置(宮浦・大浦・鶯巣)
▽農村地域防災減災事業
28,200
ため池改修の県営事業に対する負担金(池ノ平・野中)10,000千円、ため池ハザードマップ作成業務委託(7ため池)18,200千円
▽急傾斜地崩壊防止事業負担金
17,500
土砂災害等を未然に防ぐための急傾斜地崩壊防止の県営事業に対する負担金。実施地区=宮浦地区、永道浜4地区、桃の木1地区、岩崎地区
▽海岸事業負担金
6,600
高潮災害等による破損・越波する恐れがある老朽化した海岸施設(古奥)の護岸等整備に係る県営事業に対する負担金。
▽急傾斜地崩壊対策事業
47,400
急傾斜地崩壊による災害防止を図るための対策工事を行う。対象地区=贅波地区及び寺村地区、事業内容=法枠工、用地測量、移設補償等
▽救命率向上AED設置事業
2,457
市内公共施設やコンビニエンスストア等に設置したAEDの管理等を行う。
▽消防施設器材整備事業
151,681
更新時期に到達した常備用消防車両及び消防団車両の更新、消火栓の整備、その他の救急救助資器材等の整備を行う。
▽地域安全対策事業
11,625
地区管理防犯灯の適正な管理及び計画的な整備を行うため、新規設置やLED灯への取り替え、電気代の一部助成を行う。
▽地籍調査事業
151,455
一筆毎の土地について所有者、地番、地目を調査するとともに、境界の位置と面積を測量する。対象地=鵜戸Ⅳ地区、伊比井Ⅱ地区、上方Ⅰ地区、酒谷Ⅴ地区
▽東九州自動車道整備促進事業
4,518
油津港と連動した産業・経済活動の発展を図るため、事業中区間の早期完成と南郷~奈留間の早期事業化に向けて、官民一体で更なる運動に取り組む。
▽港湾事業負担金
160,150
港湾改修の県営事業に対する負担金。油津港=岸壁改良・岸壁補修・桟橋補修・クルーズ船対応大型テント整備、外浦港=臨海道路舗装・L1津波対策測量設計
▽市道トンネル長寿命化事業
7,000
トンネル長寿命化修繕計画に基づき、トンネル修繕に係る詳細設計(1箇所)を実施する。
▽社会基盤施設長寿命化事業
30,000
老朽化により傷みの激しい市道の個別施設計画を策定し、舗装・補修に取り組む。対象路線=油津星倉線(切削オーバーレイ工事)
▽日南振徳高等学校通学路整備事業
31,500
小学校・中学校・高等学校の通学路の交通安全を確保するため、今町仮屋線の改良工事を行う。
▽道路整備事業(舗装)
76,300
県南地区の物流・緊急時の避難路として重要な路線の舗装補修を行う。対象路線=山ノ口上塚田線、昼野曽和田線
▽単独道路改良事業(坂元線)
50,400
道の駅酒谷と坂元棚田を結ぶアクセス道路の安全性及び円滑性を確保するため、市道の整備を行う。事業内容=道路改良工事、立木補償、用地購入等
▽道路整備事業(春日平野線)
21,000
(仮称)油津インターチェンジ予定地周辺と油津港、中心市街地までのアクセスを円滑にするため、市道の整備を行う。事業内容=用地測量、物件調査等
▽市道橋りょう長寿命化事業
168,500
市道橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、橋りょう修繕工事(7橋)及び修繕詳細設計(5橋)を実施するとともに、2巡目の橋りょう点検(156橋)に着手する。
*特別会計
▽簡易水道事業
12,000
大島地区の簡易水道施設の維持管理及び予備水源整備のための実施設計・用地測量等を行う。
▽漁業集落排水事業
26,000
富土地区及び夫婦浦地区の環境保全を図るため、漁業集落排水施設の維持管理等を行う。
▽公設合併処理浄化槽事業
154,000
公共下水道及び集落排水以外の地域に於ける公共用水域の水質保全を図るため、公設で合併処理浄化槽の整備を行う。20年度設置予定基数=100基(5人槽84基、7人槽14基、10人槽2基)
*公共下水道事業会計
▽吾田汚水1号幹線・1号枝線及び星倉汚水枝線管路施設
204,000
生活環境の改善等を図るため、仮屋講地区の下水管布設を行う。事業内容=開削工法(VUφ150)395m、開削工法(VUφ250)111m、推進工法(HPφ300)188m、詳細設計及び地質調査1式、水道管移設補償等1式
▽日南下水終末処理場等水処理施設
411,000
適正な下水処理を図るため、既存設備の改築更新ならびに耐震補強工事等を行う。
▽面整備
70,000
下水道区域の拡大を図るため、仮屋講・星倉地区の下水管布設を行う。事業内容=開削工法(VUφ150)279m、詳細設計1式、水道管移設補償等1式
*特定環境保全公共下水道事業会計
▽内之田汚水接続管路施設
6,000
内之田地区から北郷下水終末処理場までの汚水接続管路施設の整備に必要な地形測量を行う。
▽北郷下水終末処理場水処理施設
55,000
適正な下水処理を図るため、既存設備の改築更新工事を行う。
▽面整備 4,000
郷之原地区の下水管布設を行う。事業内容=開削工法(VUφ150)20m、取付管(VUφ100)2箇所
*水道事業会計
▽配水管改良及び更新等整備事業
143,635
給水区域において水道水の安定供給を図るため、管路網の整備や老朽化した配水管の布設替えを行う。事業内容=配水管整備、HPPE(φ30~100)2320m、その他配水管更新改良測量設計業務委託
▽耐震化対策事業
415,290
重要給水施設の耐震強化を図るため、重要配水管等の布設替えを行う。事業内容=吾田配水池系基幹配水管整備等
▽日南市水道事業再編事業
56,370
旧南郷地域と旧日南地域の上水道一元化を図るため、水道施設整備を行う。事業内容=南郷送水管整備測量調査設計業務委託
*病院事業会計
▽建設改良事業
71,400
老朽化した施設及び医療機器等を更新する。
=おわり=