林野庁九州森林管理局は、2020年度から29年度までの10箇年を計画期間とする「広渡川国有林の地域別の森林計画書案(広渡川森林計画区)」をまとめた。対象区域とする日南市及び串間市の国有林で、林道の開設39箇所(総延長76㎞)や拡張104箇所(同42㎞)を実施するほか、258地区で治山事業に取り組む。
国有林における地域別の森林計画は、長期的な視点に立った計画的かつ適切な森林の取扱いを推進するため、該当する森林計画区における国有林野及び公有林等官行造林地の整備や保全に関する基本的な事項を定めたもの。森林法の規定に基づき、全国森林計画に即して森林管理局長が5年ごとに10年を1期として策定する。
広渡川森林計画区は、県最部の日南市及び串間市に所在する区域(8万3110㌶)。対象国有林は、北部から西部にかけての日南団地、志布志湾から南部にかけての志布志団地で形成し、その面積は2万8847㌶となっている。
前計画の実行結果によると、木材の安定供給を図るため、育成単層林の皆伐を実行したことから主伐や造林は計画量を達成したが、間伐は計画量を下回った。林道の拡張は、台風や集中豪雨による被災箇所のうち緊急性の高い箇所で実施。保安林の整備や保全施設については、優先度を考慮して実行したが、計画量を下回った。
次期計画では、森林の有する諸機能が発揮される場である「流域」を基本単位とし、水源涵養や山地災害防止及び土壌保全、木材生産等の機能を高度に発揮するための適切な森林施業の面的な実施のほか、林道等の路網整備、山地災害の防止、森林病害虫や野生鳥獣害の被害対策といった森林の保護等に関する取り組みを推進する。
このうち、林業専用道の開設は、日南市で28箇所(延長55.7㎞)、串間市で11箇所(同20.4㎞)の合計39箇所(同76.1㎞)を計画。改良や舗装といった林道及び林業専用道の拡張は、日南市で77箇所(同31.3㎞)、串間市で27箇所(同11.0㎞)の合計104箇所(同42.3㎞)を計画している。
治山事業に関しては、日南市の175地区(前半5年で116地区)で渓間工や山腹工、護岸工、本数調整伐、植栽工等を実施するほか、串間市の83地区(同47地区)で渓間工や山腹工、護岸工、本数調整伐を実施する予定でいる。
計画書案ではこのほか、間伐立木材積とその他の伐採立木材積の総数を38万7500m3(前半5箇年で19万0600m3)、間伐面積の総数を1万3631㌶(同6723㌶)、人工造林面積を2659㌶(同1318㌶)、天然更新造林面積を1139㌶(同565㌶)などと設定している。
《広渡川森林計画案》