日向市は、市民のスポーツや健康づくりを推進し、災害時の防災拠点と位置付ける「総合体育館」の整備に向けた基本構想案をまとめた。施設規模を5000~7000m2程度と想定し、拠点性や経済性に優れた大王谷運動公園内に整備することを基本とする。2026年度の国民スポーツ大会での活用を視野に、24年度末の施設完成を目指す。
建設から約50年が経過する現在の体育センターは、老朽化とともに耐震性にも課題があり、利用者の安全確保が課題となっている。厳しい財政状況や将来の人口減少を見据えた施設のあり方の検討に加え、相次ぐ自然災害に備えた防災拠点の整備、市民ニーズに応える設備の充実も求めれており、総合体育館の整備を優先的に進める。
基本構想案では、体育センター及び武道館の現状や課題、市内スポーツ施設の利用状況、スポーツ施設に対する市民のニーズを把握した上で、安全性・経済性・機能性・防災性の観点から整備にあたっての基本的な視点を整理。関連計画との整合性を図りつつ、総合体育館整備のキャッチフレーズと基本コンセプトを設定した。
既存施設の課題や基本コンセプト、市民検討委員会等での意見を踏まえ、ユニバーサル デザインに配慮した施設整備を基本に、▽競技機能▽観覧機能▽管理・サービス機能▽健康増進機能、交流機能▽防災機能―を確保する。他自治体の事例も参考に、これらの機能を盛り込む新施設の規模を5000m2~7000m2程度と想定する。
諸室及び概算面積案では、アリーナはバスケットボール2面またはバレーボール3面の広さ(約1900m2)で、観客席は500席程度を確保する。柔道場及び剣道場は各1面を整備するほか、会議室や選手控室、多目的室、更衣室・シャワー室・トイレ、各諸室、備蓄倉庫等、ホール・ロビー・通路等、機械室等の配置を想定している。
建設場所に関しては、現敷地やお倉ケ浜総合公園、大王谷運動公園の各候補地について、拠点性・交通性・防災性・経済性の視点で検討を行い、「大王谷運動公園が整備場所として最も適している」と位置付けた。総合的に優位性の高い大王谷運動公園内に総合体育館を整備することを基本に、具体的な施設レイアウトの検討を進める。
大王谷運動公園内には、野球場や陸上競技場、水泳場(プール)、芝生広場等の施設があり、その中でも水泳場は老朽化や費用対効果の面から、廃止を含めた今後のあり方について検討が必要となっている。このため、水泳場を総合体育館の整備場所の候補地とし、その場合に駐車場としての整備を想定する芝生広場のあり方も検討する。
事業手法に関しては、従来の「設計・施工・維持管理分離発注方式」に加え、利用促進に向けた仕掛けづくりや財政負担の軽減を図るため、民間事業者の創意工夫を活用する「PPP/PFI方式」の採用も視野に入れる。昨年に策定したガイドライン等を踏まえ、基本計画時にPFI導入可能性調査を行い、詳細な検討を行う。
事業スケジュールによると、今年度に決定する基本構想を踏まえ、20年度に地形・地質・測量等の調査のほか、基本計画の策定とPFI導入可能性調査を行う。計画では、21~22年度に設計(PPP/PFIの場合は21年度にアドバイザリー業務、22年度に設計)、23~24年度に工事を行い、24年度末の施設完成を目指す。
日向市総合体育館整備基本構想(案)は市のホームページ等で公開し、市内に住所を有する者や事務所・事業所を有する法人その他の団体等を対象に、11月1日から11月21日まで意見を募集する。専用の意見提出書に必要事項と意見を記入し、総務部資産経営課へ郵便・FAX・メール等で提出する。