宮崎県は、工事の入札で不調・不落が増加していることを踏まえ、新たな対策を実施する。技術者不足や条件不利工事の敬遠が主な要因となっていることから、配置予定技術者の専任要件の緩和や、総合評価落札方式における受注状況算定の特例措置の拡大等に取り組む。12月2日以降に公告や通知、開札を行う案件に適用する。
公共三部における不調・不落の発生件数(発生率)は、2016年度に92件(5.0%)、17年度に132件(7.5%)、18年度に201件(11.3%)と増加傾向で推移。19年度は上半期だけで125件(14.9%)の不調・不落が発生している。
上半期に於ける部局別の発生件数は、県土整備部が70件、農政水産部が18件、環境森林部が27件で、発生率は環境森林部(37.5%)が最多。業種別では土木一式(65件)やとび・土工(18件)、価格別では1500万円未満(44件)や3000~7000万円(40件)、内容別では営繕工事(23件)や治山工事(17件)で多い。
県では現在、現場代理人の常駐義務の緩和や余裕期間制度の活用拡大、施工箇所が点在する工事の間接費積算の適用拡大といった対策を実施。今年9月からは、土木一式及び営繕工事Cクラスへの最新入札情報のメール配信や、営繕工事Cクラスの応札期間の拡大といった対策を追加しており、12月から更なる対策に取り組む。
具体的には、配置予定技術者が既に別の工事の監理技術者等となっている場合、開札日の前日までとしている手持ち工事の完成届を「契約日まで」に延長し、工事着手日までに引き渡しが完了すれば、当該工事の監理技術者等として認める。これに伴い、同一監理技術者による新たな工事への入札参加機会が12日程度拡大する。
また、応札業者が受注状況(K値)を考慮して工事を選別する状況が生じているため、現行の特例措置を見直す。受注状況の算定で過去1年間の受注額に含まない工事に「環境森林部及び農政水産部が発注する全ての工事(漁港漁場工事を除く)」を追加し、環境森林部及び農政水産部が発注する工事への入札参加意欲を向上させる。
これとあわせて、総合評価落札方式の入札で減点評価の対象となる受注状況(K値=過去1年間の受注額を過去5過年度の平均受注額で除した値)のラインを、現行の「1」から「1.5」に見直す。K値の評価基準を緩和し、受注状況で減点評価されている業者の入札参加意欲を向上させ、不調・不落の発生低減につなげる。