県内主要河川の土砂管理計画を検討する宮崎県中部流砂系検討委員会は、「小丸川水系総合土砂管理計画」を策定し、宮崎河川国道事務所のホームページで公開した。土砂災害の発生やダム貯水池の堆砂の進行、河道の河床低下及び局所洗掘などを課題として捉え、対応策を検討・抽出し、短期・中期・長期の実施目標を設定した。
計画では、土砂生産域、土砂流出域(ダム領域・河川領域)、海岸領域の各流砂系に於ける現状と課題を整理。これを踏まえ、小丸川流砂系の目指す姿に「人為的影響に起因した土砂環境に対する課題の軽減」「流域住民の安全・安心や生活基盤を支える諸施設の機能の保全」「多様な生物が生育・生息・繁殖できる流域環境の誘導」を掲げた。
目指す姿を実現するための共通目標として、上流~下流に至る主要地点の粒径集団ごとの通過土砂量を土砂管理目標に設定。上流部の土砂生産域に近い松尾ダム及び渡川ダムに流入する土砂量の約4割を、海岸領域に近い川原ダム下流に還元し、現状の供給量2.4万m3/年に対して4.6万m3/年以上の供給を目指すこととした。
土砂生産域では、洪水時の短期的な土砂流出被害を防止するため、必要に応じて透過型砂防堰堤等の事業を実施。土砂の連続性の改善やダム機能の維持を目的にダムの堆砂対策を検討し、必要に応じて河道掘削等も行う。海岸領域への土砂動態を検討し、目標達成が困難な場合には、掘削土砂等を活用した養浜(サンドバイパス)も検討する。
これらの土砂管理対策は、10年間を一応のサイクルとし、計画や具体的内容の検討及び見直しを適宜行いながら実施する。対策による土砂動態の応答を監視するとともに、土砂動態に関する調査・研究を継続し、得られた知見に応じて計画を見直していくため、必要なデータを蓄積するためのモニタリングも継続的に実施していく。