日本下水道事業団(JS)は、受発注者の働き方改革の推進と工事品質の向上に向けて、施工管理でのICT活用を拡大している。2018年度に一部の現場で試行導入したウェアラブルカメラによる遠隔検査を本格化し、現在は19現場で活用。定点カメラによる安全管理や、ドローンを用いた進捗管理などと併用する現場も多く、省人化や安全性の向上など有効に活用できた事例を蓄積している。
ウェアラブルカメラを用いた臨場検査では、受注者のヘルメットなどにカメラを取り付け、撮影した画像をインターネットを介してJSの職員が遠隔地にある事務所のパソコンなどから確認する。臨場待ち時間を解消できる他、急な現場確認依頼にも対応できる。導入現場では、監督の頻度が上がるなどの効果もあったという。
BIM/CIMの施工管理段階での活用にも引き続き取り組む。既存施設の改修などの際、既設構造物との干渉や、職種間の不整合の解消など、現場での手戻り作業の防止に効果が出ているという。
現場の特性に応じたICT活用も推進。東京都立川市のシールド工事による幹線建設現場では、掘進管理システムにより、掘進状況と出来高などを継続的に確認できるようにした。
また、名古屋市のポンプ所建設工事では、現場内の任意の場所を3次元モデルで表示できるAR(代替現実)システムを活用し、検査・巡回の記録を蓄積している。