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感動を包み込むランドマーク 陸上競技場の技術提案を公開

 都城市山之口運動公園に陸上競技場を整備する宮崎県は、設計プロポで最優秀者に選ばれた佐藤・益田設計業務共同企業体の技術提案を公表した。周囲の山並みと調和した優しい形状の屋根が客席を包み、全ての客席から臨場感のある観戦を可能にするなど、「感動を包み込む『ランドマークスタジアム』」を主競技場のコンセプトに掲げる。

 2026年に本県で開催予定の国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会に向けて、山之口運動公園の区域を現在の約11㌶から約22㌶に拡張し、第1種公認の陸上競技場、第3種公認の補助競技場、投てき練習場、多目的広場、公園施設、駐車場等を整備する計画。造成工事を含む概算工事費は全体で約200億円を見込む。

 第1種公認の陸上競技場に関しては、▽トラック(全天候舗装型)400m×9レーン▽フィールド(天然芝)107m×73m▽屋根付き観覧席(メイン・バックスタンド)▽ナイター設備―などを設け、床面積の合計を2万5000m2程度(芝生席など屋根の無い観覧席を含む)、観客席を1万5000席以上(芝生席を含む)とする。

 佐藤・益田JVの提案では、メインスタンドを2段客席(下段5000席・上段2000席)とすることで、全客席がフィールドに近く、臨場感のある観戦が可能になることを強調。大会規模に応じて上段席の利用を制限し、管理運営の合理性を高めるほか、建築面積をコンパクトにして競技場周辺の空間を有効利用できる計画とした。

 バックスタンドには個席1000席を設置し、隣接する投てき練習場を見渡せる段床デッキ200席程度を設ける。バックスタンドとサイドスタンドの芝生席には、将来7000席の個席を増設することが可能であり、メインスタンドと合わせて1万5000席を確保する。

 屋根架構のコストが全体のイニシャルコストに大きく影響することを考慮し、屋根架構をS造、柱をSRC造、それ以外の下部構造を在来RC造とする合理的な架構計画とする。メインスタンドの架構はバランスの良い天秤型で、屋根先端のテンション材により揺れを軽減する。屋根の平面形状をV型とすることで地震時の安全性も高める。

 このほか、災害時に於ける広域的な避難・後方支援機能として、指示系統や避難、救援物資の集積保管等を想定した施設計画に加え、災害時にも防災機能として活躍する設備計画、分かりやすい避難動線計画を立案。また、県産材の活用やライフサイクルコストの低減、降灰・多雨といった本県の環境特性にも考慮した。

 県は3月26日、これらの技術提案を行った佐藤・益田JVと「陸上競技場建設及び山之口運動公園整備に係る基本設計等業務」を契約した。契約金額は1億8950万円。業務では、陸上競技場や投てき練習場整備に係る基本・実施設計、第3種公認の補助競技場や多目的広場、公園施設整備に係る基本設計を委託する。

 業務の履行期間は契約締結日から2021年3月25日まで。今年度から約2年をかけて施設整備に係る設計を行い、入札手続き等を経て、2021年度に建設工事に着手する。最終的に2024年度末の施設完成を目指す。