宮崎市庁舎の整備や今後のあり方を話し合う宮崎市庁舎整備に関する市民懇話会は、「更なる長寿命化ではなく、庁舎の建て替えが望ましい」といった懇話会の考え方を報告書としてまとめた。報告書は庁内での検討や来年度に開く地域説明会等で活用し、平成32年度までに庁舎整備に係る市としての最終方針を決定する。
懇話会の熊野稔委員長(宮崎大学地域資源創成学部教授)と松竹昭彦副委員長(宮崎県建築士会会長)が3月18日に宮崎市役所を訪ね、戸敷正市長に報告書を提出し、懇話会の開催経緯や報告書の概要を説明した。
防災拠点としての耐震性や洪水による浸水の可能性、分散化・狭隘化など現庁舎が抱える課題を踏まえ、市は「推定耐用年数である平成40年(2028年)までは維持管理を行いながら現庁舎を活用し、その間、基金等の財源確保に努め、建て替えを含めた庁舎のあり方を更に検討する」といった一定の方針を示している。
学識者や関係機関・団体の代表、公募市民らで組織する市民懇話会は、現庁舎が抱える課題等を抽出し、これを踏まえた整備イメージや求められる機能などを議論。報告書では、庁舎整備の大きな方向性として「更なる長寿命化ではなく、庁舎の建て替えが望ましいとの結論に至った」とする懇話会としての考え方を示した。
庁舎の建て替え場所に関しては、現地及び移転のそれぞれの「良いところ」や「気になるところ」について委員から寄せられた意見を記載。場所を判断する際の指標例に利便性や防災上の拠点性、まちづくりへの影響、事業費の抑制、敷地の規模などを挙げ、市としての優先事項を慎重に検討し、熟慮して決定するよう求めた。
来年度以降に検討すべき事項に関しては、庁舎の建て替え場所や庁舎の規模、財源の確保を挙げるとともに、市としての最終方針の検討状況を適宜公表するなど、積極的な情報発信を通じて、市民に対する説明責任を果たすよう注文を付けた。
参考として市が示した整備イメージは、現地建て替えが分棟方式及び1棟集約方式の5パターン、移転建て替えが1棟集約方式の2パターン。いずれも、関係法令の制約の中で考え得る最大限の規模(延床面積4.5万~5万m2)を想定した。整備期間は、現地建て替で最短でも約6.5年、移転建て替えで約4年が必要と試算。概算事業費は、現地建て替えで約231億円~262億円、移転建て替えで約237~275億円を見込む。
説明を受けた戸敷市長は、報告書の内容を踏まえ、市民の理解が得られるよう、利便性や防災、財源等の観点から庁舎整備に向けた議論を深めていく考えを示した。仮に建て替えとなった場合、市は平成33年度以降に基本構想を策定する予定でいる。