▲写真は会合の模様
宮崎市庁舎の整備や今後のあり方について、広く関係者や市民が意見を交わす「宮崎市庁舎整備に関する市民懇話会」(熊野稔委員長=宮崎大学地域資源創成学部教授)が、1月17日に宮崎市内で開かれた。5回目となる今会合では、庁舎を建て替える場合の新たなイメージを市が提示。また、これまでの会合を踏まえた庁舎のあり方に関する考え方や報告書のたたき台を示し、その内容について委員と市が意見を交わした。
防災拠点としての耐震性や洪水による浸水の可能性、分散化・狭隘化など現庁舎が抱える課題を踏まえ、市は「推定耐用年数である平成40年(2028年)までは維持管理を行いながら現庁舎を活用し、その間、基金等の財源確保に努め、建て替えを含めた庁舎のあり方を更に検討する」とした一定の方針案を示している。
市庁舎の整備や今後のあり方を検討するにあたり、広く意見を聴取する場として、市は学識者や関係機関・団体の代表、公募市民で組織する懇話会を昨年7月に設置。これまでに開いた4回の会合では、現庁舎を見学した上で課題等を抽出し、これを踏まえた庁舎の将来像や求められる機能に関して意見を交わしている。
この中で、大きな方向性である「更なる長寿命化」「現地建て替え」「非現地(移転)建て替え」についても評価。「更なる長寿命化」では、老朽化や狭隘化等の解決に至らず、改修工事をしても、そう遠くない時期に建て替えの必要性が生じるため、「庁舎の建て替えが望ましい」とする懇話会としての考えを打ち出している。
関係法令の制約の中で考え得る最大限の規模として市が示す建て替えイメージでは、駐車場等の空敷地を利用した現地での分棟方式で、延床面積を約4.5万~5万m2とした場合、整備期間を約7~8.5年、事業費を約231~262億円と概算。移転建て替えでは、延床面積を約5万m2とした場合、整備期間を約4年、概算事業費を約237~275億円と概算している。
今会合ではこれに加えて、懇話会や市議会の意見を踏まえ、1棟に集約して現地に建て替えるイメージも提示。集約化により分散化を解消することができるが、仮設庁舎を別敷地に整備する必要があることや、庁舎の延床面積を約4万m2とした場合、整備期間が約6.2年、概算事業費が約233~243億円となることを説明した。
会合ではこのほか、懇話会で寄せられた機能・イメージを踏まえた庁舎のあり方に係る体系図や、懇話会としてまとめる報告書のたたき台についても意見を交わした。説明を聞いた委員は、報告書ありきでなく様々な視点で今後も広く議論を展開できるよう、報告書の位置付けを明示することや、懇話会で出された様々な意見を今後の課題として盛り込むよう市に注文を付けた。
今後は、2月22日に開く第6回目の会合で報告書の最終案について意見を交わし、3月末までに市長に報告書を提出する方針。報告書の内容等を踏まえ、市は平成31~32年度に庁舎整備に係る最終方針を決定する。仮に建て替えとする場合には、33~34年度に庁舎整備に係る基本構想を策定する考えでいる。