国土交通省は、道路管理者の負担を軽減するため、橋梁・トンネルの定期点検にロボットなどの新技術を活用する方針を固めた。定期点検要領では、技術者による近接目視を基本としているが、点検業務の発注者が承諾することを条件に、新技術の活用を認める。合わせて、打音検査や触診を省略したり、点検範囲を絞り込むなど、作業量も低減する。
12月14日に開いた社会資本整備審議会の道路技術小委員会に定期点検要領の改訂案を報告。この中で、ロボット技術の活用や点検作業の合理化について考えを示した。要領は18年度末までに改定し、各道路管理者に通知する。
現在、5年に1度の頻度で行う定期点検は、技術者による近接目視が原則で、ドローンで構造物の写真を撮影したり、コンクリートのうき・剥離を非破壊で検査するロボット技術を活用することはできない。
定期点検要領の改訂により、近接目視と同等の水準での健全性の診断が可能だと判断できれば、近接目視以外の方法で点検できるようにする。定期点検業務の受注者は、活用する新技術や活用範囲について発注者と協議。発注者の承諾が得られれば、近接目視を補完、代替する新技術を活用できるようになる。
要領改訂に合わせ「新技術利用のガイドライン」を定め、定期点検業務に新技術を活用する際のプロセスを示す。合わせて、点検支援技術の性能値を比較できる「新技術の性能カタログ」も整理し、受発注者の技術選定に活用してもらう。
一方、技術者による点検作業も合理化する。第三者が立ち入る恐れのない溝橋(ボックスカルバート)などでは、打音・触診を省略。2回目以降のトンネルの点検では、打音検査の範囲を縮小し、点検の作業量を減らす。
改訂する定期点検要領は、定期点検が二巡目を迎える19年度から適用する。二巡目以降の定期点検に向けては、市町村に対する国の支援体制の充実、点検に関する資格制度や新技術の審査制度、点検結果のデータベース化などを検討し、さらなる効率化を図る。