▲写真はフォーラムの模様
一般社団法人コンクリートメンテナンス協会(徳納剛会長)が主催し、株式会社岡﨑組が共催する「コンクリート構造物の補強・補修に関するフォーラム2018」が、9月26日に宮崎市内で開かれた。維持管理業務に携わる技術者ら100人超が参加。構造物の健康寿命(安全な状態で供用できるまでの期間)をテーマに、同協会の江良和徳技術委員長や近未来コンクリート研究会の十河茂幸代表らが講演した。
冒頭、挨拶に立った徳納会長は「本日のフォーラムでは、構造物の健康寿命を延ばすために重要な劣化因子を入れない技術や鉄筋を腐食させない技術などの補強・補修工法を紹介する。適切な維持管理を行うために、本日得られる知識を今後の維持管理業務に役立ててほしい」と挨拶した。
講演では始めに、国土交通省九州地方整備局徳田浩一郎技術管理課長が建設業を取り巻く現状や働き方改革、ICTの活用に向けた取り組みについて説明した。その後、江良技術委員長が「コンクリート構造物の劣化と補修技術」と題して、塩害・中性化・ASR劣化のメカニズムや補修の考え方について説明し「構造物劣化のメカニズムや劣化過程、補修後の維持管理シナリオ等を考慮し、補修工法を選定することが重要である」と解説した。
午後の部では、東洋建設株式会社の湯地輝氏が「電気化学的防食技術と健康寿命」と題して、鉄筋腐食のメカニズムと腐食の進行を直接的に抑制する電気防食工法について解説。続いて、江良技術委員長が、亜硝酸リチウムを用いた補修技術や工法、活用事例等を紹介した。
近未来コンクリート研究会の十河茂幸代表は「長寿命化のための点検要領」と題して、▽コンクリート構造物の健康寿命▽健康寿命を延ばす維持管理▽小規模構造物の点検要領▽点検要領の作成に向けて―などについて講演。十河氏は「健康寿命を延ばす維持管理には予防保全と早めの判断が重要」と語った。
このほか、日本ペイント株式会社の中丸大輔氏が「コンクリート用塗料の性能と機能」について講演。表面保護や美観付与のほか、機能性付与としての損傷状態の確認が可能となる視認性付加塗料、塗布型剥落防止工法等について紹介した。参加者は今後の維持管理業務に生かそうと時折メモを取るなど熱心に講話に聞き入っていた。