宮崎県内の設計4団体は、2月14日に延岡市駅前複合施設エンクロスで「建築セミナー2025」を共催した。セミナーには、各団体の会員を中心に約30人が参加。才能に恵まれ、真摯な努力を重ねる若手建築家を表彰する公益社団法人日本建築家協会(JIA)の新人賞を受賞した玉田誠氏と脇本夏子氏が基調講演を行った。
セミナーは、建築士の資質向上や建築文化の醸成等を目的に、公益社団法人日本建築家協会九州支部宮崎地域会、一般社団法人宮崎県建築士会、一般社団法人宮崎県建築士事務所協会、一般社団法人日本建築構造技術者協会九州支部宮崎地区会の4団体が共催し、宮崎県が後援した。今回で7回目の開催となる。
開会挨拶でJIA九州支部宮崎地域会の久寿米木和夫会長は、遠方からの来宮に感謝の意を示すとともに、新進気鋭の建築家の講演を「興味深く拝聴したい」と挨拶した。
講師を務めたのは、玉田脇本建築設計事務所の玉田誠氏と脇本夏子氏。敷地の豊かな自然に加え、周辺環境や地域の活動も取り込める半屋外のニワと一体となった住まい「ROOF HOUSE」の設計・監理を手掛け、JIA新人賞を受賞したほか、同作品で2024年度の日本空間デザイン賞の銀賞(住・生活空間)も受賞した。
敷地は、関東平野の北端の町工場やのどかな田畑風景が混在する地域で、古くから大きな農家が建っていた土地とその裏の雑木林、合わせて2000㎡ほどあった。都市部から移住した若い施主からは、緑の中で暮らすこと、地域から人を呼び込む場所があること、将来転勤した場合にも上手く住まいを使えることを求められた。
こうした要望を踏まえ、「ROOF HOUSE」は、キッチンやリビング、ベッドルームを備えた母屋、バスルームやトイレ等の水回り系、アトリエのボリュームの異なる3つの建物で構成。用途やボリュームの異なるこれらの建物全体に一枚の薄い屋根を架け、半屋内とも半屋外ともいえるような空間となることを目指した。
基調講演ではこのほか、両氏がこれまでに計画・設計を手掛けた、3世代6人が共に暮らす「群れ」の住まい、1980年代後半に建てられた標準的な集合住宅のリノベーション、小さな農園を営む施主の趣味や作業のための小屋に加え、鹿児島県大島郡龍郷町(奄美大島)で現在進行中のホテルの建設計画なども紹介。
両氏は、地域の自然や歴史、地域で積み重ねられてきた人の営みなどを最大限に踏まえたうえで、「時間とともに変化する住まい手の在り方や状況を受け入れることができる、未来の拠り所になる建築を考えていきたい」「住まい手の活動が入り込める余白のようなモノを備えた建築を追求していきたい」などと話した。