日向市は、将来の城山墓園(大字塩見字中山崎)の運営指針と位置付ける「城山墓園基本方針案」をまとめた。無縁墓の増加や多様化する市民ニーズに対応するため、新たな埋葬形態として現在の敷地内に「合葬墓」を整備するとともに、将来にわたって安定的に施設管理を行う方策として、「指定管理者制度」の導入を検討する。
城山墓園(総面積12.7㌶、4519区画)は、1996年から整備をはじめ、今日まで安定的に墓地の供給を行ってきたが、供用開始から50年近くが経過した現在、少子高齢化や核家族化、単身高齢者世帯の増加など社会情勢が変化する中で、墓に対する価値観も多様化し、多くの人が将来の墓の管理に不安を感じている。
こうした状況を踏まえ、市は2020年8月にお墓に関する市民アンケート調査を実施するとともに、21年10月に外部有識者等で構成する検討委員会を設置。城山墓園の今後の在り方について協議を重ね、22年11月に市に提言書を提出した。検討委員会からの提言内容を踏まえ、市は基本方針案をまとめた。
方針案では、墓地需要の動向に加え、無縁墓の増加や市民ニーズの多様化、墓園内環境の改善、会計状況の悪化といった課題を踏まえ、新たな埋葬形態として、骨壺を一つの建物に納める「合葬墓」を整備するとともに、効率的かつ質の高いサービスを実現するため、民間のノウハウを活用する「指定管理者制度」の導入を検討するとした。
合葬墓に関しては、市民の価値観にあわせた埋葬形態を選択できる点や整備費用等を総合的に考慮し、骨を骨壺に入れて埋蔵し、安置から一定期間が経過した後に併設されている合祀墓へ改葬する個別埋葬方式と、遺骨を粉状にして納骨袋に入れて埋蔵する直接合葬方式を組み合わせた「ハイブリッド方式」による施設整備を進める。
整備費用の総定額は、合葬墓(建築面積154㎡程度)の建設費が8000万円、土地造成や駐車場整備、道路舗装等の土木費が5100万円、トイレ(建築面積40㎡程度)建設費が2900万円の合計1億6000万円程度。市内で新たに用地を確保することが困難であることから、現在の墓園敷地内に整備する。
さらに、墓園全体の環境維持業務の担い手として、新たに「指定管理者制度」を導入し、多様化する利用者ニーズに応える。線香や生け花の販売、墓の清掃代行サービスなど、新たなサービスの提供が可能となり、墓園内の管理水準の向上が期待される。
整備期間は3年間とし、初年度に設計業務、2年目に造成工事、3年目に建設工事を行う。事業スケジュールによると、26年度に合葬墓の整備計画策定と測量・建築設計、27年度に土地造成等と駐車場整備、28年度に合葬墓及びトイレの建設工事を行い、29年度から指定管理者による供用開始を目指している。
基本方針案は、市のホームページや日向市役所市民環境部、東郷総合支所、細島・岩脇・美々津支所などで公開し、市内居住者等を対象に9月26日まで意見を受け付ける。問い合わせ先は、市民環境部市民課市民相談係(電話0982-52-2111・内線2133、メールshimin@hyugacity.jp)。