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外国人向けの安全教育など継続実施 宮崎県溶接協会

      

▲写真は挨拶する碕山理事長、松浦次長、総会の模様

 一般社団法人宮崎県溶接協会(碕山裕和理事長、※碕は石へんの﨑)は5月27日、宮崎市内で2025年度「第70回通常総会」を開催した。総会では、24年度事業報告及び決算関係書類、25年度事業計画案及び収支予算案を原案どおり承認。任期満了に伴う役員改選で、碕山裕和氏を理事長に再任した。

 挨拶で碕山理事長は、会員の協力のもと、24年度の事業を概ね計画どおり実施できたことを報告。また、今年8月に本県で開催される九州地区高校生溶接技術競技会に向けて、地元高校生が合同練習を行うなど、優勝を目指して頑張っていることを紹介した。

 来賓祝辞で宮崎県商工観光労働部の松浦好子次長は、溶接がものづくりに欠くことのできない基盤技術であり、あらゆる産業の発展に貢献していることを強調。一方で、協会が昨年度から外国人向けの安全教育を実施していることに触れ、県として外国人労働者や受入企業の両面をサポートする体制を整えていることを紹介した。

 総会で承認された25年度の事業計画では、本県溶接技術水準の向上や資質・技術の伝承を目的に、宮崎県工業技術センターと連携し、溶接資格試験やアーク溶接特別教育、溶接技能者教育講習を開催するほか、外国人向け安全教育の実施、高校生大会の開催に向けた県内高校との連携に取り組むことを事業方針に掲げた。

 これに基づく推進事項として、溶接技能者評価試験や各種講習会の開催、溶接技術に関する相談・指導及び調査研究、溶接関係図書及び出版物の配布または頒布、外国人向け安全教育講習会や中小企業等担い手育成支援に取り組むとともに、県内7地区の支部・各会や関係官公庁、関係団体等との連携強化を図るとした。

 任期満了に伴う役員改選では、新任4人を含む理事11人と監事2人の人事案を承認。相談役には鳥越清氏と川越新吾氏、顧問には丸山裕次郎氏と日高博之氏が就任した。

 新役員は次のとおり(敬称略)。
▽理事長=碕山裕和
▽副理事長=後藤健治、池田洋
▽理事=山田耕一、秋田祥典、山口順一、赤木優志、山下修一、赤峰尚也、黒木英崇、齋藤章一郎
▽監事=阿萬正紀、奈良宏一郎。

■「宮崎県溶接協会の挑戦」で講演

 総会の議事終了後には、碕山理事長が「宮崎県溶接協会の挑戦」と題して講演を行った。全国的な人口減少に伴い、溶接技能者評価試験の年間受験者数も減少する中、「地方の溶接協会は社団法人として存続可能か?」をテーマに、協会の活動事例を紹介した。

 碕山理事長は、協会の現状を説明するとともに、全国組織の一般社団法人日本溶接協会に対して、自主事業の財源確保のための委託費の値上げ、20歳未満の若年者の認証料免除、事務作業の削減に向けた各種申請時・更新時のOA化などを提案したことを紹介。

 一方で、ホームページや協会作成の溶接ニュース、チラシ、SNS等を活用して、安全教育や溶接技能者のための講習会の周知を図るとともに、若年者等への取り組みとして、地元工業高校や専門学校の学生に対して、技術指導を行っていることを説明した。

 また、2024年度から全国初となる外国人のための安全教育を新規に開講したことも紹介。ベトナム語とインドネシア語によるアーク溶接安全特別教育講習会、インドネシア語によるクレーン運転の業務に係る特別教育を開催し、合計22人が受講した。

 こうした取り組みを、テレビや新聞などのマスメディアを活用して一般にも広く周知し、溶接の魅力を伝えるとともに、溶接協会のOBでつくる「九州沖縄わかす会」を発足させ、現役とOBが一丸となって溶接協会を盛り上げる仕組みを構築している。

 これらの取り組みを進めた結果、2013~18年度の収支の合計は赤字だったが、19~24年度では収入額も増え、収支も黒字に転換したという。

 碕山理事長は、地方の溶接協会を社団法人として存続させるためには、若手の育成強化やSNS・HP・マスメディアの活用、地元企業のアピール、行政・本部・県内関連業界との連携及び協働に加え、資格取得支援や労働環境の向上、女性技術者の登用促進といった会員企業への意識付けが必要とまとめた。