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会長に黒木繁人氏を再選 インフラDXコンソーシアム

          

▲写真は挨拶する黒木会長、総会の模様

 宮崎県インフラDXコンソーシアム(黒木繁人会長)は6月13日、宮崎市内で2025年度「第6回総会」を開催した。総会では、24年度事業報告及び決算のほか、技術研修や視察研修の開催などを盛り込んだ25年度事業計画案及び予算案を原案どおり承認。任期満了に伴う役員改選では、黒木繁人氏を会長に再選した。

 同コンソーシアムは、ICT(情報通信技術)を活用した建設現場の生産性向上や建設分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するため、20年12月に県内の建設会社13社で発足。会員間の技術交流・向上を目的とした勉強会や現場見学会等を定期的に開催している。現在の会員数は37社。

 総会で挨拶に立った黒木会長は、建設業界がかつてない変革の波の真っ只中にあり、見える変化と見えない変化それぞれに対応する必要性があると指摘。少子高齢化に伴う若年入職者の減少や従事者の高齢化を背景に、従来の発想を転換し、「人が足りないからこそ、人の力を最大限に活かすためのテクノロジーが必要だ」と強調した。

 一方で、DXとは単なるデジタル化ではなく、「人と人、人と機械、現場とオフィス、企業と企業を繋げること」であり、これこそが若い世代が希望を持てる建設業をつくるカギになるとして、コンソーシアムでの各種活動を踏まえ、「地域の守り手である地域建設業の可能性を広げる実践を積み重ねていこう」と呼び掛けた。

 議案審議では、24年度の事業経過として、建設業に着目しているスタートアップ企業による講演会、建設業界のリアルマッチングイベント「職人酒場」の開催協力、建機メーカー及びリース会社による合同プレゼンテーションなどに取り組んだことを報告した。

 一方、25年度の事業計画に関しては、今総会後に開催した勉強会のほか、生成AIの活用に関する研修会、デジタル人材の発掘を目的とした若手人材とのマッチング会、建設業向けソフトウェアメーカーによる製品及びサービスに関する研修会、県外のインフラDX先進企業の視察研修などを計画している。

 新役員は次のとおり(敬称略)。
▽会長=黒木繁人(旭建設)
▽副会長=河野孝夫(日新興業)、川浦幸治(龍南建設)、坂下利一郎(坂下組)
▽理事=河野孝文(河野建設)、増田祐介(増田工務店)、河野義直(光河建設)、吉原政秀(吉原建設)、永野伸弥(永野建設)
▽監事=木田壮一郎(木田建設)、橋邉正之(第一建設)。

■基調講演で最新技術など学ぶ

 総会後には、2025年度第1回定例会も開催。株式会社中和コンストラクション(奈良県)の大浦晃平代表取締役社長と、立命館大学総合科学技術研究機構の建山和由教授が基調講演を行った。総会に出席した会員各社の代表に加え、行政や会員各社の技術系職員ら多数が参加し、講演内容に熱心に聞き入った。

 中和コンストラクションの大浦社長は、「地域建設業による無人化施工への挑戦」をテーマに講演。2011年に発生した紀伊半島大水害の災害復旧工事をきっかけに、無人化施工を実施した3件の工事事例を解説し、「一から技術開発を行わなくても、既存の技術を組み合わせて、創意工夫で使えるようにすることは可能」とまとめた。

 一方、「人口減少社会を迎えて~建設業の課題と挑戦~」をテーマに講演した立命館大学の建山教授は、人口問題からみた建設改革の必要性を訴え、「深刻な人手不足に対応するため、デジタル技術が重要な役割を果たす」と指摘。国の動向やICT導入の意義、地方自治体に於ける建設改革の取組事例などを解説した。