延岡市は、2027年度に登録から10周年を迎える「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」の取り組みを加速させる。25年度は、北方地域に於ける拠点施設整備として、鹿川キャンプ場の水道施設整備や旧下鹿川小学校跡地を活用した宿泊施設の整備を継続するとともに、新規に黒岩地区の拠点施設整備に係る検討などを行う。
本県と大分県にまたがる祖母・傾・大崩山系は、急峻な岩峰や数々の渓谷など独特な景観美と原生的な自然といった多様な生態系が評価され、17年6月に「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」として登録された。これを踏まえ、市はエコパークを身近に体感できるよう、北川地域及び北方地域で年次的に拠点施設等の整備を進めている。
このうち北川地域に関しては、アウトドア活動拠点としてリニューアルした「ホタルの館」(S造平屋建延べ587㎡)が今月1日にオープン。新施設には、研修室や展示室、ホタル飼育室、シャワー室等を備え、指定管理者がアウトドア活動の情報発信や疑似体験、スポット紹介等を行う。敷地内には芝生広場や大型の複合遊具も整備した。
同じく北川地域の祝子川温泉「美人の湯」では、今年8月から新たな指定管理者による管理運営を開始するにあたり、老朽化が著しい調理室や調理機器類の改修を行うとともに、露天風呂の土部分の解消工事、目隠しフェンス等の設置を行う。祝子川温泉と一体的な運営を開始する祝子川キャンプ場では、コテージのエアコン等を整備する。
一方、北方地域に関しては、鹿川キャンプ場の水道施設整備に係る取水井さく井工事(予算額1363万円)や水道施設改修工事(機械設備2087万円、電気設備2504万円)を行う。取水井さく井工事は第1四半期(指名競争)に、水道施設改修工事は第2四半期(電気設備は条件付一般競争、機械設備は指名競争)に発注する予定。
同じく旧下鹿川小学校跡地を活用した拠点施設整備では、既存の校舎棟や校長・教員住宅を取り壊し、宿泊用のコテージ2棟及びコンテナ4棟を新設(最大宿泊定員16人)。インフォメーションや農林産物無人販売店、カフェスペース、トイレを備えた地域交流拠点施設も設置する。解体費用を含む概算事業費は約2.3億円。
今年3月には指名競争で「北方地域ユネスコエコパーク宿泊滞在型施設等整備基本設計業務委託」の入札を執行し、セントラルコンサルタントが899万円で落札した。当該業務では、これらの施設整備に係る基本設計を行う。委託期間は8月29日まで。
25年度から新規着手する「黒岩地区ユネスコエコパーク拠点づくり事業」では、キャンプ場や温泉等の観光施設を有する祝子川地区と市内中心部の中間点となる黒岩地区に、観光客や地元住民が利用できる拠点施設(木造平屋350㎡程度)の整備を検討する。
整備にあたっては、地区の要望を踏まえ、旧黒岩中学校跡地を活用し、市産材を用いた木育交流や農林産物等の販売機能、詩人・渡辺修三氏の顕彰機能を備えた施設を計画する。このほか、アクセス道路の整備についても検討を行う。
市は25年度当初予算に、施設整備に係る基本計画・基本設計業務委託料及び妙地区林道詳細測量設計業務委託料として2681万円を計上した。このうち、拠点施設整備に係る基本設計業務委託は、第3四半期に指名競争で発注する予定でいる。