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規模は5千㎡以上、図書館複合施設基本方針 日向市

 日向市は、市民の知の拠点であり、新たな交流拠点と位置付ける「図書館複合施設」の基本方針を策定した。図書館として幅広いサービスを提供し、多様な機能を複合した新施設の規模は、図書館機能2500㎡以上、複合施設機能2500㎡以上を基本とする。事業手法に関しては、従来手法に加え、PPP/PFI方式の採用も検討する。

 現在の市立図書館(本館ほか=延床面積1175㎡、蔵書約18万冊)は、春原町の旧日向保健所を改築し、1997年1月に開館したが、建築から約60年が経過し、施設の老朽化が進んでいるため、利用者の安全性や快適性に問題が生じている。

 さらに、近年は全国で図書館を取り巻く状況が大きく変化し、市民の図書館に対するニーズが多様化・複雑化しており、学習・交流の場の提供やデジタルサービスの充実、地域情報の発信など、幅広いサービスの提供が求められている。

 こうした状況を踏まえ、市民が利用しやすい「知の拠点」であり、新たな「交流拠点」となる図書館複合施設の整備に向けて、現状と課題を整理し、市民ニーズを把握したうえで、施設の基本的な考え方や今後の方向性を示す「基本方針」を策定した。今後は、この基本方針に基づき、基本構想の策定に向けて検討を進める。

 新たな図書館は、単なる図書の貸し出し機能に留まらず、地域社会の「知の拠点」及び「交流拠点」として、多様なニーズに応える総合的な学びと交流の場を提供することを目指す。子どもの読書活動推進や生涯学習社会づくりの実現、中心市街地の活性化、持続可能なまちづくりに貢献し、賑いにあふれる共創のまちづくりに繋げる。

 施設の基本理念には「学びの種をまき、創造の芽を育て、希望の実を結ぶ 市民のサードプレイス」を掲げた。学びの機会やきっかけを提供し、知識の基礎を築くとともに、学びを通じて得た知識をもとに創造性や新たなアイデアを育む、学びと創造の成果が未来への希望や発展につながる、誰もが安心して快適に過ごせる第三の居場所とする。

 施設の方向性に関しては、図書館と複合的に整備することで相乗効果が期待できる施設機能を整理。新たに加えることが可能な機能に多目的ホールやカフェ・飲食スペースなど、複合施設として整備が必要なものに子育て支援センターや生涯学習センターなどを挙げた=別表。基本構想の策定過程で、具体的な機能や規模を検討する。

 類似団体の事例や市民ニーズ調査の結果等を踏まえ、新しい図書館の延床面積は2500㎡以上を基本とする。さらに、新しい図書館をワンフロアに配置した場合を想定し、単純な2階建構造とした場合、複合施設部分の延床面積も2500㎡以上を基本とする。また、先進自治体の事例を参考に、駐車場は100台程度を基本とする。

 こうした施設規模を想定した場合、約4200㎡以上の敷地が必要となるが、中心市街地郊外にこれを満たす浸水想定が低い適地がないこと、学生から「交流できる場所」「勉強できる場所」を求める声が寄せられていることを踏まえ、日向市駅など交通機関の利便性の高い「中心市街地に図書館複合施設を整備することが望ましい」とした。

 建設費に関しては、複合施設に含める機能や近年の建設需要による工事費の変動など、詳細な分析が必要なことから、建設後のライフサイクルコストを含め、基本構想の中で示すこととし、次のステップである基本計画の策定、基本設計の段階ごとに精査し、必要に応じて計画の見直しを図る。

 一方で、建設には多額の費用を要することから、健全な財政運営に影響を与えることがないよう、事業規模や事業手法を検討する。具体的には、従来手法である「設計・施工・維持管理分離発注方式」のほか、公共と民間事業者が適切な役割分担と連携のもとに事業を推進する「PPP/PFI方式」の導入可能性調査を実施する。

 従来手法で事業を進めた場合は、2030年度末に新施設を完成させ、現図書館からの移設作業を経て、31年10月の供用開始を目指す。PPP/PFI方式で事業を進めた場合は、31年度末に新施設を完成させ、32年10月の供用開始を目指す。

日向市図書館複合施設整備基本方針