宮崎県は11月19日、企業の経営者や技術者、建設ディレクターを対象とした「業務連携研修会」を開催した。11月~12月に全3回で開催する業務連携研修会の第1回目として開催したもの。研修会には13社から約30人が参加し、建設ディレクターの役割や導入時のポイントを解説したほか、移管業務の洗い出し作業を行った。
建設ディレクターは、現場技術者が行っている施工データの整理や処理、提出書類の作成、写真測量・3次元設計といったICT業務を担い、現場技術者をバックオフィスから支援する職域。専門スキルを身に着けるなどして現場とオフィスをつなぎ、支援することで、技術者が品質管理や技術の継承などに集中できる環境を構築する。
研修会は、建設現場とバックオフィスの業務連携に向けた仕組みづくりを支援するため、建設ディレクターを導入、または導入を考えている企業を対象に開催した。土木や造園、電気など様々な職種の企業が参加し、全3回の研修を通じて移管業務の洗い出しや目標決定、技術者に必要となるコーチングスキルの習得などを行う。
講師を務めた一般社団法人建設ディレクター協会の田辺直子氏は、こうした建設ディレクターの役割を解説し、デジタルや見える化をツールとして業務の内製化を図ることが目的と説明。生産性向上や働き方改革を見据え、「個」から「チーム」での現場管理に移行し、技術者と建設ディレクターが一緒に現場を造ることが重要と説いた。
さらに、建設ディレクターが現場技術者の負担軽減やチーム力・組織力の強化、社内のデジタル体制の推進といった効果を生み出し、生産性や利益を向上させることで企業の持続的成長を支えるとともに、多様な人材が活躍できる機会を創出することで地域創生を実現するといった「好循環」の構築を目指していることを説明した。
説明後には、経営者、技術者、建設ディレクターのそれぞれの立場から、業務の洗い出し作業を実施。建設ディレクター同士の交流会も行った。田辺氏は、建設ディレクターが総務や経理などと兼任である場合、月末月初といった繁忙時期に於ける本業とのバランスを考えながら、移管する業務を考える必要があると指摘した。
当日はこのほか、建設ディレクター協会の石岡秀貴理事がオンラインで講演を行った。参加した造園業の経営者は、「働き方改革の推進を図る上でも、技術者の負担軽減は必須。建設ディレクターの導入で技術者の負担が減り、若手や女性など様々な人材が活躍できる場が増え、業界全体の活性化に繋がることを期待したい」と話した。