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高次脳機能障がいの理解深める 米良企業Gが社内研修

      
▲研修会の模様

 米良企業グループの株式会社共立電機製作所と株式会社共立電照(いずれも米良充朝代表取締役社長)は、11月18日に社内研修の一環として「高次脳機能障がい」に関する研修会を開催した。両社の社員約50人が参加し、外見からは分かりにくい高次脳機能障がいの症状や日常生活で求められる支援のポイントなどを学んだ。

 研修会は、宮崎市が宮崎市社会福祉協議会に委託している「ふれあい福祉体験事業」として開催したもの。高次脳機能障がいに特化した理解啓発研修を福祉関係事業所以外の一般企業で実施するのは、県内で初の試みとなる。

 高次脳機能障がいは、事故や病気で脳に損傷を受けたことで、言語、思考、記憶、注意などの高次の脳機能に障がいが起こり、日常生活や社会生活に支障が生じるもの。外見からは障がいがあることが分かりにくいため、周囲から誤解を受けたり、人間関係のトラブルを繰り返すことも多く、様々な困難を抱えながら生活している。

 具体的には、「新しい出来事を覚えられない」「同じ事を繰り返し質問する」「ぼんやししていてミスが多い」「二つのことを同時に行うと混乱する」「作業を長く続けられない」「自分で計画を立てて物事を実行することができない」「興奮したり暴力を振るったりする」「思い通りにならないと大声を出す」といった症状が現れるという。

 研修会の講師を務めたみやざき高次脳機能障がい家族会あかりの飛田洋会長は、自身の経験を交えながらこうした症状を解説。身体機能が回復し、知能にほとんど異常がないことから、「本人も家族も障がいを認めるのが難しい」とした上で、「高次脳機能障がいは社会がつくる障がい」であり、周囲の理解や配慮が必要不可欠と説いた。

 飛田会長は、正確な診断体制や医学的・日常生活訓練、就労・就学のための3段階のリハビリ体制、ちょっとした気遣いといった環境調整があれば、社会復帰が可能であると指摘。障がいに対する社会の無理解が、高次脳機能障がい者を更に追い込むこともあるとして、障がいに対する理解や支援が広く社会に浸透することに期待を寄せた。

 米良社長は、「私達の職場だけでなく、皆さんの周囲にも障がいを持っている方がいらっしゃると思う。研修で学んだことを活かし、仕事の面だけでなく、プライベートでも周囲に目を向けた生活に切り替えてもらいたい」と社員に話した。

 飛田会長によると、宮崎県内に於ける高次脳機能障がい者数は少なく見積もっても7千人超で、このうち障がい者手帳(精神障がい保健福祉手帳)を取得している人は僅か2%程度にとどまる。大多数が金銭補償や福祉施策を受けられていない状況にあるという。