▲写真は丸宮建設の河野副社長、協栄工業大賀社長、セミナーの模様
宮崎県とみやざきDX推進モデル企業創出プロジェクトが主催する2025年度の第2回DXセミナーが、10月16日に宮崎市のATOMica宮崎で行われた。セミナーには、会場とオンライン合わせて約100人が参加。丸宮建設株式会社(都城市)など企業3社が登壇し、経営基盤を強化するためのDXの取組事例などを紹介した。
セミナーは、県内事業者がDX推進に向けた第一歩を踏み出すため、DXの基礎やデジタル技術の実装事例を学ぶとともに、具体的な成功事例等を通じてDXによる変革を身近なものと認識してもらうために開催しているもの。全5回のうち2回目となる今回のセミナーは、「経営基盤強化のためのDX」をテーマに設定した。
丸宮建設の河野一歩取締役副社長は、「為すべきことを為すためのDX~仕事モドキを退治せよ~」をテーマに講演。スルーで承認される形骸化した承認フローや同じ場所で情報を共有するだけの会議などを、実際には生産性がほぼない「仕事モドキ」と定義し、クラウド化とデータ化で仕事モドキを撲滅した事例を紹介した。
具体的には、大手IT企業が提供する生産性向上のためのグループウェアツールやソフトウェアを活用し、稟議・承認フローのデジタル化や会議のオンライン化などに取り組んだことを説明。社員が為すべき事に集中し、楽しく働ける環境を構築できるよう、「自分ごと」として物事を捉え、業務を効率化するDXの重要性を説いた。
一方、大分県で総合設備業を展開する協栄工業株式会社の大賀豊文代表取締役社長は、社内のDX推進チームを中心に「根付いた文化を守るDX」として、業務管理・原価管理システムを自社で開発した経緯を説明。組織文化を知ることや組織構造を変えることをDX成功のポイントに挙げ、組織が変革したことが一番の成果と話した。
また、株式会社興電舎の甲斐和幸専務取締役は、DXが注目を集める以前から取り組んでいた自社でのシステム開発の沿革や、業務の効率化をサポートする自社開発の「K-fis」を紹介。DXとは「最新技術を導入するだけでなく、現場起点の地道な改善を積み重ね、社員と共に育てることで企業全体の変革に繋げること」と説明した。
セミナーを運営する有限責任監査法人トーマツの担当者は、既存業務を効率化することで生産性向上やリスク回避を図る「守りのDX」、新しい価値や収益源を生み出すことで競争力を強化する「攻めのDX」について解説。いずれも相補的なものであり、両方にバランス良く取り組むことで、ビジネスや社会に最大限の価値を提供できるとした。
DXセミナーは今後、第3回を11月13日、第4回を12月11日、第5回を26年2月20日にそれぞれ開催する。詳細は宮崎県のホームページで確認できる。問い合わせ先は、セミナー運営事務局(有限責任監査法人トーマツ、メールmiyazaki_dx@tohmatsu.co.jp)。