▲写真は講師を務めた川浦理事、出前講座、現場見学会の模様
一般社団法人宮崎県建設業協会は9月18日、県立宮崎農業高等学校の環境工学科2年生を対象とした出前講座と現場見学会を開催した。出前講座では、建設業が果たす役割や仕事の内容、魅力・やりがいを伝え、実際の建設現場で行われた見学会では、工事の目的や施工プロセス、ICTを活用した現場環境などを学んだ。
宮崎県建設業協会では、建設産業の健全な発展や担い手の確保・育成、業界のイメージアップを図ることなどを目的に、若年者の入職促進や人材育成に係る各種事業を展開。県内高校等の学生を対象とした出前講座や見学会のほか、各地区協会を実施主体とするインターンシップなどに積極的に取り組んでいる。
出前講座の講師を務めた川浦幸治理事(龍南建設株式会社)は、建設業が分かり易く、身近な仕事であることを生徒に説明。土木と建築の違い、現場条件に応じた橋梁やトンネルの造り方、発注者・設計者・施工者で成り立つ建設ビジネスの仕組みを解説するとともに、建設現場のデジタル化が進んでいることを紹介した。
川浦理事はこのほか、現場を管理する技術者と、職人である技能者の違いも説明。そのうえで、「好きなことを仕事にすれば、自ずとモチベーションも上がり、それによって待遇が良くなるなど、正のスパイラルを回すことができる」として、「自分の特性を分析し、自分に合った仕事を見つけてもらいたい」と呼び掛けた。
現場見学会は、大和開発株式会社が施工する「油津・夏井道路1-1工区改良(その1)工事」、株式会社坂下組が施工する「日南・志布志道路平野地区中央幹線水路設置工事」、株式会社志多組が施工する「学園木花台本郷北方線山下工区(仮称)山下橋下部工工事(P3)」の3つの現場で行われた。
このうち、山下橋下部工の現場では、工事を発注した宮崎県宮崎土木事務所の担当者が、物流の効率化や地域のアクセス性向上を目的に、山下工区の整備を進めていることを説明。工区内に架設する(仮称)山下橋を例に、各部位の名称や下部工及び上部工の仕組みについて、図面を示しながら分かり易く解説した。
現場代理人を務める志多組の林田壮吾さんは、着工から現在に至るまでの施工フローを説明。建設現場で週休2日が制度化されていることや、3次元データの活用段階に移行していることを紹介し、向上心を持って学業に励んでもらうよう呼び掛け、「将来は是非、地元の建設会社に就職し、一緒に研鑽を積んでいこう」と期待を込めた。
生徒達はその後、橋脚工事の現場を上部からのぞき込んで見学した。建設業への入職を視野に入れる男子生徒は、「建設機械の内部には様々なレバーやボタンがあり、オペレーターが全てを使いこなしているのに驚いた。現場で3次元データを活用していることも知ることができた。将来に向けて、今日の経験を役立てたい」と話した。