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発注基準見直しなど、入契制度改革取組方針 串間市

 串間市は、入札・契約制度等改革に係る取組方針をまとめた。入札の透明性を確保するため、発注基準の見直しや第三者によるチェック体制の構築、予定価格の公表方法の検証、入札・契約事務の体制強化、一般競争入札を含めた入札制度の検討、電子入札の導入などを盛り込み、それぞれの導入時期等を示した。取組方針は、ホームページで確認できる。

 市発注工事の指名競争入札を巡り、前副市長が官製談合防止法等に問われた事件を受けて、市は入札・契約制度の検証やコンプライアンス意識の強化、官製談合等の根絶に向けた再発防止対策等を検討するため、第三者(弁護士、税理士、公認会計士、学識経験者)で構成する串間市入札制度等検討委員会を2024年1月に設置。

 5回の会合を重ねて、検討委員会は5月に「入札・契約制度及びコンプライアンスのあり方に関する提言」をとりまとめ、島田俊光市長に答申。検討委員会からの提言を踏まえ、公共工事等における入札・契約制度の適正化及び職員のコンプライアンス意識の強化を図るための取り組みの方向性や内容、検討の工程を取組方針として示した。

 このうち、入札契約制度改革に係る取組方針には、▽発注基準の見直し▽第三者によるチェック体制の構築▽予定価格の公表方法の検証▽指名業者選定案の文書管理の徹底▽審査会会長への事前レクチャーの見直し▽入札・契約事務の体制強化▽一般競争入札を含めた入札制度の検討▽電子入札の導入―を盛り込んだ。

 発注基準の見直しに関しては、入札・契約制度に係る業界団体との意見交換会を開催するなどして現状を把握し、工事実績や地域貢献度等を客観的に「数値化」「見える化」した上で評価する新たな発注基準案を作成する。新たな発注基準は25年4月から適用する見通し。公式サイトや広報紙等を活用して、新たな発注基準を公表する。

 また、入札及び契約過程等の透明性を確保するためには、第三者による監視を受けることが有効であり、法的要請でもあることから、今年10月に「串間市入札等監視委員会」を設置する。監視委員会には、指名審査会を監視する権限や、入札・契約全般にわたり改善すべき点がある場合に市長に意見を具申する権限を付与する。

 予定価格に関して、現在は「事前公表」を行っているが、競争が制限され、落札価格が高止まりになり、入札談合が容易に行われる可能性が懸念される。一方で、公表しないことにより、不当要求や品質の低下が懸念されることから、平均落札率を含めた客観的データ等を分析した上で、「事前公表」の妥当性について検証を行う。

 検証にあたっては、工事成績評定の調査・研究を行うとともに、監視委員会や関係課等への意見聴取、事後公表に必要な不当要求への対応マニュアルの運用や周知などの環境整備を行うことで、事前公表の妥当性を慎重に判断する。検証の結果、公表方法に変更があった場合は、25年10月から新たな公表方法を運用する。

 検討委員会の中で、入札・契約事務に従事する組織体制の強化が求められたことから、これに特化した「入札・契約係」を新設するとともに、職員が不当な要求や働きかけを受けた場合に公正な職務の執行を確保し、職員を保護するための「内部統制係」を新設し、コンプライアンスリスクの管理体制の強化を図っている。

 今回の提言を受けて、入札・契約事務の流れや処理方法を見直すなど担当職員の業務量の軽減を図ることが重要であることから、現状の入札・契約事務の業務に加え、新たな制度の構築に伴う業務を整理し、業務分担を明確にするためのマニュアルを作成する。

 一般競争入札に関しては、適用範囲を明確にするとともに、具体的な制度設計について検討することが求められることから、要綱を制定する。施工実績・工事成績や地域貢献の実績評価等を重視した総合評価落札方式の導入等を検討し、市の実情に応じた一般競争入札運用に必要な条件を整備した上で、25年10月から運用する。

 事業者の利便性の向上や業務の効率化を図るとともに、入札参加案内や入札結果など幅広く工事等の入札情報を開示することにより、透明性の確保と入札参加機会の拡大が期待されることから、電子入札の導入に向けた整備を進める。必要に応じて紙入札と電子入札を併用する試行期間を設定するなどして、25年4月から運用を開始する。

 一方、コンプライアンスの確保と意識改革に係る取組方針には、職員の意識改革として、職員倫理の拠り所となる規程等の整備や職員研修の充実に取り組むとともに、コンプライアンスリスク管理体制の強化として、不当要求行為等への対応のマニュアル化、コンプライアンス推進の体制強化を盛り込んだ。

入札・契約制度等改革に係る取組方針