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人や地域をつなぐ橋に感謝 宮崎「橋の日」実行委員会

      

▲写真はイベントの模様

 毎年8月4日は「橋の日」。人や地域をつなぐ橋に感謝し、郷土愛を深めることを目的とした「橋の日」イベントが、4日に宮崎市の橘橋で行われた。イベントには、多くの市民や地元企業、行政及び関係団体の職員らが参加し、橘橋の清掃に汗を流した。

 延岡市出身の湯浅利彦氏が提唱した8月4日の「橋の日」は、地域の生活や文化に密接な関わりを持つ河川や橋に感謝し、郷土を愛する心と河川の愛護・浄化への関心を育むもの。1986年に延岡市で初めてイベントが開かれ、2015年には全国47都道府県で開催されるようになり、その動きは市町村にまで広く浸透している。

 橘橋で行われた献花式では、宮崎「橋の日」実行委員会の大田原宣治会長、宮崎市の清山知憲市長、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所の大嶋一範所長、宮崎県宮崎土木事務所の否笠友紀所長がそれぞれ挨拶。その後、大田原会長や地元の学生をはじめとする代表者が、橋への感謝を込めて親柱に献花を行った。

 参加者は、事前に準備されていた雑巾を使って、手分けをしながら上流側の高欄を綺麗に磨き上げた。大田原会長は、コロナ禍を経て、再び多くの市民と橋を綺麗にすることができることを喜ぶとともに、「橋の魅力やありがたさを再確認する機会。道路や河川を愛する気持ちを育み、これを郷土愛に繋げてもらいたい」と話した。

 宮崎「橋の日」実行委員会では、私費を投じて初代橘橋を架けた福島邦成氏の紙芝居の上演や、とんところ地震を題材とした絵本の寄贈、パンフレット等を通じた「橋の日」記念日の広報活動、自治体での橋の日イベントの支援等に取り組んでいる。

■点字ブロックを高圧洗浄

 宮崎県鋼橋コンクリート構造物塗装協同組合(堂地隆一理事長)は、8月4日に宮崎市の橘橋で行われた「橋の日」イベントで、橋梁上の点字ブロックを洗浄する奉仕活動を行った。作業には、組合員が所属する企業から多数の職員が参加。歩行者や自転車の往来に注意しながら、高圧洗浄機を使って汚れを綺麗に取り除いた。

 当日はこのほか、県北地区でも橋梁清掃活動を実施した。堂地理事長は、組合員の保有する技術や資機材を活用した地域貢献活動の一環であることを踏まえつつ、「橋梁に特化した塗装を生業とする私達にとって、橋に感謝するのは当然のこと。活動を通じて、組合員の意識の向上を図り、仕事に対する誇りを高めたい」と話した。

■親子で橋梁点検を体験

 国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所は8月4日、宮崎市の橘橋で行われた「橋の日」イベントに合わせて、「親子で橋の点検体験見学会」を開催した。橋梁点検車やリフト車への試乗、鉄筋探査機、打音検査、ポールカメラ点検、ドローンの体験を通じて、親子で橋梁点検の様々な技術を学んだ。

 橋梁点検車の試乗では、デッキに乗り込んだ子ども達が、打診棒で橘橋の底部の点検に挑戦。打音検査では、ハンマーで叩くことで浮きや剥離の箇所を確認できることを学んだ。また、ポールに備え付けたカメラや、ドローンのライブ映像を用いて、離れた場所からでも橋梁の損傷等を確認できることを体験した。

 このほか、VR機能を搭載した災害対策車インフラカードも配布。現地にモニターも準備し、災害対策用ヘリコプターや情報収集車等の内部を探検した。宮崎河川国道事務所の増尾明彦総括保全対策官は、「様々な技術が点検に活用されていることを知ってもらうとともに、建設分野に興味を持つきっかけになれば」と話した。

 宮崎市内から親子で参加した男児は、橋梁点検車の試乗が最も印象に残ったとして、高い所で仕事をしている人達がいることに驚いた一方、「高い所が苦手。僕には絶対にできないと思った」と話し、隣で父親が苦笑いを浮かべた。