▲写真は講習会の模様
宮崎圧送協会(川野誠二会長)は8月24日、都農町内の一の宮交流館で2024年度「全国統一安全・技術講習会」を開催した。外国人実習生を含む約60人のコンクリート圧送従事者が受講し、労働災害や事故の未然防止に向けたミスをなくすための仕組みづくりのほか、ブームの折損事故を防ぐための安全対策等を再確認した。
コンクリート圧送技能者の育成や安全意識の向上、高度な新技術の習得により労働災害の撲滅を図ることを目的に、一般社団法人全国コンクリート圧送事業団体連合会が1977年から全国各地で開催しているもの。法的な義務付けはないが、こうした取り組みが高く評価され、関連団体では修了者を圧送施工時に配置するよう推奨している。
講習の第一部では、全圧連の技術委員会から招いた専門講師が「ミスをなくす仕組みづくり」をテーマに講演。圧送業に於ける労働災害やヒヤリハットの発生状況を説明しながら、「不安全状態と不安全行動が接触すると労働災害が発生する」として、いち早く不安全に気付き、各自が具体的な対策を考え、これを実行する重要性を説いた。
一方で、ミスを防ぐための対策について、過去の受講者アンケートで「安全意識の徹底」「気を引き締める」「丁寧な仕事」といったスローガン的な目標が多数あったことを説明。スローガン的な目標は、個人の考え方によって行動にばらつきが生じることから、「いつ、誰が、どこで行っても同じ結果が得られる具体的な対策」の必要性を訴えた。
また、メリットがあればその行動を繰り返す人間の行動原理を踏まえ、安全行動のメリットを意図的に大きくすることの必要性も説いた。安全行動を取った他者の行動を褒めたり、評価するなどして、その人にメリットを感じさせ、こうした行動を習慣化させることが、結果として労働災害やミスの未然防止に繋がるとした。
講習の第二部では、今年度からカリキュラムに追加した「先端ホース規定の重要性を考える再認識教育」を実施。金属疲労や座屈によるブーム折損事故を防止するための対策を説明したほか、ブームに様々な負荷がかかることを踏まえ、労働安全衛生法等に基づく点検をこまめに行い、亀裂等の不備を早期に発見する必要性を再確認した。
河野会長は、コンクリート圧送業の労働災害が重篤災害に直結することを踏まえ、「技術の向上や安全意識の高揚を図る年に一度の貴重な機会」と講習を位置付け、「自身や仲間の身を守るため、安全対策等を意識付けてもらいたい」と期待を込めた。
当日はこのほか、3年に一度の受講を推奨している「コンクリートポンプ車従事者危険再認識教育」も開講。24~25日には、コンクリート圧送作業に従事する者に受講が義務付けられているコンクリートポンプ車に係る特別教育も行われた。