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松竹会長勇退、新会長に那須氏 宮崎県建築士会

      

▲写真は挨拶する松竹前会長、那須新会長、総会の模様

 一般社団法人宮崎県建築士会(松竹昭彦会長)は5月25日、延岡市内で2024年度の定時総会を開催した。総会では、23年度事業報告及び収支決算と役員の選任案を承認したほか、24年度事業計画及び収支予算を確認。任期満了に伴う役員選任で、会長職を5期10年務めた松竹氏が勇退し、新会長に那須日出夫氏を選出した。

 挨拶で松竹会長は、資材価格や人件費の高騰等に伴い、多くの建築関連事業者が施工費等を値上げせざるを得ない状況にある中で、「業界も厳しい状況にあるが、実際はクライアントが一番苦しい思いをしている」と指摘。こうした現状を踏まえ、「時代の流れに沿って、私達が違う形でサポートをしていかなければならない」と述べた。

 さらに、建築士会に於いても会員数の減少等といった課題を抱えているが、「ピンチを乗り越える所に飛躍があり、チャンスがある」とこうした課題を前向きに捉えつつ、「仲間同士で明るく、互いに助け合いながら、地域を盛り上げ、夢のあるまちにしなければならない」として、建築士が地域に果たす役割の重要性を説いた。

 24年度の事業計画では、地域に必要とされ、期待される建築士会であり続けるため、まちづくりや災害への備え、地域の建築資産の保存・利活用への協力、地域の特性やニーズに応じた地域貢献活動を展開する必要性を訴え、▽組織・財務改革▽建築士としての知識や技術の研鑽▽建築士の職能を活かした地域貢献活動―を重点事項に掲げた。

 具体的には、会員の自己研鑽と倫理観の醸成のため、タイムリーな情報提供を行うとともに、継続能力開発(CPD)制度の活用促進、設計業務に携わる者を対象とした定期講習や既存住宅状況調査技術者講習を開催する。多様な関連法の改正に加え、防災や空き家問題といった社会ニーズに応じた研修の開催も企画する。

 さらに、地域の特性を活かすための事業や諸問題を解決するための事業、地域の貴重な建築資産を保全・利活用するための事業、巨大地震を見据えた防災関連事業のほか、地域の気候風土に適応した家づくりや景観まちづくり活動に積極的に関わるとともに、行政や関連団体と連携し、建築士の職能を活かした地域貢献活動を実践する。

 任期満了に伴う役員選任では、新理事及び監事のほか、宮崎県県土整備部建築住宅課長と同営繕課長に顧問を委嘱することや、名誉会長に松竹前会長が就任することを承認した。任期はいずれも26年の定時総会終結まで。

 就任挨拶で那須新会長は、長きにわたり協会を牽引してきた松竹前会長の後を継ぐ重責に「身の引き締まる思い」と述べるとともに、新たな体制で会の運営に取り組むにあたり、「活動の主役は会員」であるとして、会員が楽しく活動できるよう、新体制で会員をサポートしながら、会のために全力を尽くすと意気込みを語った。

 一方、退任挨拶で松竹前会長は、多くの仲間に囲まれ、支えられた10年だったことに対して感謝の意を示し、建築士会の存在を広く知ってもらうことや会員が誇れる建築士会であること、常に楽しむことを心にとどめていたことを説明。「これからも建築士会ライフを楽しみながら、異なるスタンスで会を応援していきたい」と述べた。

 総会後に行われた表彰式では、日本建築士会連合会の会長賞を受賞した川原伸也氏(日南支部)、会員歴25年表彰を受賞した15人に表彰状や記念品を贈呈。24年4月現在で77歳を迎えた特別会員12人も紹介した。

*新役員は次のとおり(敬称略、順不同)
▽会長=那須日出夫
▽副会長=髙橋寿、西尾武彦、日髙達郎、堀内明彦、福丸千春
▽常務理事=黒木俊一、甲斐江里子、森山福一
▽専務理事=後藤和生
▽理事=新名喜八、西本幸則、柴田志摩子、森迫麻紀子、金丸政司、外山秋人、満留正浩、山下敬司、内八重勇、巣山昌博、日髙直幸、福添勝郎、山﨑孝紀、渡部裕充、岡薗正浩、川﨑安彦、作田耕一朗、小城修
▽監事=興梠克百、染川比呂志、岩下益士。

■各支部・委員会が活動報告

 総会終了後には、各支部及び委員会が活動報告を行った。高鍋支部は、建築士会の研究集会として、旧江藤病院(木城町)の利活用に関するワークショップを開催したことを説明。宮崎支部は、青年部及び女性部を中心に木育事業の一環として行っている木組みのジャングルジム「くむんだー」の取り組みを紹介した。

 都城支部は、都城工業高等専門学校等と連携し、学生によるベンチのデザインコンペ発表会や親子等を対象とした木工教室を開催したほか、実際にベンチを制作したことを報告。技術委員会は、「宮崎型気候風土適応住宅」に関して、地域性が高い項目を必須にするなど、基準等の見直しを行っていることを報告した。

 このほか、公益社団法人日本建築士会連合会九州ブロック会が主催する2024年度の研究集会「建築士の集いみやざき大会」が、6月22日に都城市内で開催されることも紹介。新施設見学コースや木材技術見学コースなど6つの分科会、地域実践活動や気候風土適応住宅の各県の状況を発表する全体会を予定していることを説明した。