有識者や学識者でつくる串間市入札制度等検討委員会(中澤隆雄委員長)は5月23日、「串間市における入札・契約制度及びコンプライアンスのあり方に関する提言」をとりまとめ、島田俊光市長に答申した。提言には、第三者によるチェック体制の構築や予定価格の公表方法の検証、一般競争入札を含めた入札方式の検討などを盛り込んだ。
検討委員会は、弁護士、税理士、公認会計士、学識経験者の外部委員4人で構成。市発注の設計業務の入札に関して、副市長が官製談合防止法違反等の容疑で逮捕・起訴されたことを受けて、入札・契約制度の検証やコンプライアンス意識の強化、官製談合等の根絶に向けた再発防止対策などを検討するため、2024年1月に設置した。
5回の会合を重ねてとりまとめた提言では、▽入札の透明性の確保▽入札・契約事務の執行体制▽入札制度▽入札方法▽職員の意識改革▽コンプライアンスリスク管理体制―の6項目について、改善に向けた具体的な方向性を示した。
入札の透明性の確保に関しては、工事実績や地域貢献度等を数値化・見える化し、発注基準を公表することや、客観的なデータ等を分析した上で、予定価格の事前公表の妥当性を検証すること、第三者による入札・契約監視委員会(仮称)を設置し、指名審査会のモニタリングや市長に建議できる権限の付与を検討するよう提案した。
また、入札・契約事務の執行体制に関しては、所属長の決裁を経た上で、指名業者選定案を公文書として整理することや、指名業者選定案の変更等を指名審査会で行うことをルール化すること、不正が行われない入札・契約事務の仕組みづくりを確立すること、事務処理方法を見直すなど業務量の軽減を図ることなどを提言した。
入札方法に関しては、市内業者の現状を把握した上で、電子入札の導入を検討することを提言。入札制度に関しては、一般競争入札の適用範囲を明確にし、具体的な制度設計について検討すること、電子入札及び総合評価落札方式の導入等を視野に入れつつ、市の実情に応じた条件整理を行うことを求めた。
一方で、職員倫理に関しては、職場の実態等を踏まえた上で「倫理規程」等を整備することや不当要求行為への対応をマニュアル化することを提言。さらに、コンプライアンスの遵守に向けて、体系的な研修の実施のほか、直面する問題へ組織的に対応するため、先導的な役割を果たす組織体制の強化を図ることなどを盛り込んだ。
提言では、職員に対して「今回の事案を自分事として重く受け止めなければならない」としたほか、「入札制度改革と職員・組織の意識改革は車の両輪」であるとして、市長ら特別職に対して「行政運営上の課題を受け止め、改革をしっかりと実行に移し、職員一丸となって市政の信頼回復に全力を尽くしてもらいたい」とまとめた。
《提言の概要版》