▲南側からのイメージ図
宮崎市は、新庁舎建設基本計画案をまとめ、ホームページで公開した。計画案では、現在地に1棟に集約して整備する新庁舎の規模を12階建、延床面積3万9000㎡と設定。事業費は約320億円を見込む。事業手法は、基本設計先行のデザインビルド方式を採用。2024~25年度に基本設計、26~30年度に実施設計と建設工事を行う。
2月15日開会の市議会全員協議会で示した基本計画案では、23年3月に策定した基本構想に基づき、新庁舎に導入する機能や施設計画、事業手法等を示した。
策定済の基本構想では、「持続可能なまちづくりを支える機能的な庁舎」を基本理念に掲げ、快適なサービスの提供や安全・安心の確保、生産性の高い働き方やカーボンニュートラルの実現といった基本方針を設定。現庁舎敷地に新庁舎を建設する方針を示すとともに、1棟集約が可能な配置案を基本に、更に検討を進めるとしていた。
基本計画案では、こうした基本理念や基本方針の実現に向けて、デジタルを活用したワンストップ窓口やユニバーサルデザインなどの導入機能を検討。災害対応拠点としての機能を確保するため、構造体の耐震安全性の分類をⅠ類、建築非構造部材をA類、建築設備を甲類とするほか、構造形式に免震構造を採用するとした。
計画敷地は、津波による浸水は想定されていないが、洪水ハザードマップや高潮ハザードマップで浸水する可能性が示されていることから、庁舎の1階レベルが標高7・3m以上となるよう、敷地の嵩上げを行う。一方で、地質調査の結果を踏まえ、建物直下の液状化対策は不要として、基本構想時から液状化対策の範囲を見直した。
執務スペースに関しては、可能な限り整形で無柱の空間とすることで、将来的な組織改編や他用途への転換も図りやすい機能的な計画とする。環境負荷低減の取り組みとして、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティみやざき」を宣言していることから、ZEB Readyの認証取得を目標とする。
施設計画に関しては、敷地西側に庁舎棟、東側に駐車場棟を配置する基本構想の配置案を踏まえ、整備プロセスが異なる3つの案を比較検討。その結果、民間施設の賃借や市有施設を活用して仮設庁舎を確保し、現在の第二庁舎等を解体して、その跡地に新庁舎を建設し、解体後の本庁舎跡地に立体駐車場を整備する案を採用する。
同案をベースに、庁舎棟内の基本レイアウトを検討し、移転対象職員数等も踏まえたモデルプランを作成。機能ごとに必要面積を算定し、新庁舎の規模を12階建、延床面積約3万9000㎡と設定した。駐車場台数は、来客者300台と公用車175台の合計475台とし、このうち約235台は3層4段の立体駐車場で確保する。
概算の施設整備費は税込で約320億円。内訳(税抜)は、新庁舎建設費が約224.4億円、立体駐車場建設費が17.8億円、接続通路建設費が3.8億円、敷地嵩上比が0.9億円、液状化対策費が1.1億円、外構整備費が1.1億円、既存解体費が8.4億円、仮設庁舎整備費が4.7億円など(設計・監理費や備品費等を除く)。
新庁舎の事業手法に関しては、市民や職員の意見を反映させ、基本計画の内容を丁寧に落とし込む必要があることから、基本設計を先行実施することを前提に、▽従来方式▽DB方式▽PFI方式―の3つの手法について評価を実施。その結果、基本設計を先行実施し、その後に実施設計と建設工事を一括発注する方式を採用するとした。
一方で、立体駐車場や橘公園に関しては、これまでのサウンディング型市場調査で民間施設の導入可能性が確認されたことから、今後も民間活力の導入を視野に調査等を継続し、市場の環境を見極めつつ、28年前後にあらためて検討するとした。
現段階の想定スケジュールによると、24~25年度に基本設計、26~30年度にDB事業(実施設計+建設工事)を行い、31年度中の全庁運用開始を計画する。外構工事は31年度、立体駐車場工事は31~32年度を予定しており、33年度の事業完了を目指す。