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県営住宅整備にPFI、一ケ岡団地で先行 宮崎県

 宮崎県は、概ね10年以内に再整備が必要となる県営住宅の再整備にPFI手法を導入する。対象は、一ケ岡団地(延岡市)、大塚台団地(宮崎市)、青葉団地(前同)の3団地。このうち、建設年代が最も古い一ケ岡団地で、先行して再整備を実施する。2025~26年度に実施方針や要求水準書案の公表、事業者選定、協定締結といったPFI法の手続きを行う。

 12月4日に開催した県議会商工建設常任委員会で、県営住宅の再整備(PFI手法の導入)に係るこれまでの検討結果や今後の方向性、事業の進め方などを報告した。

 23年度末時点に於ける県営住宅の管理戸数は108団地8831戸で、入居率は79.7%。人口減少や少子高齢化による入居率の低下、住棟の老朽化及びバリアフリーへの未対応、維持管理や更新に要する経費の縮減が喫緊の課題となっている。

 こうした課題への対応方針として、県は①公共施設等総合管理計画に基づき、原則として計画的な改修による施設の長寿命化を実施②改修による費用対効果が見込めない住棟は建替えを推進(管理戸数全体の約1割)③建替えに当たっては、財政負担の軽減等を図る事業手法として、PFI手法の導入を検討―を挙げていた。

 このうち③に関して、大規模な団地で概ね10年以内に再整備が必要となる一ケ岡団地、大塚台団地、青葉団地を対象に、優先的検討規定に基づき、PFI手法導入を検討した結果、いずれもVFMでコスト削減が見込めることを確認した。これを踏まえ、3団地のうち建設年代が最も古い一ケ岡団地で、先行して再整備を実施する。

 現在の一ケ岡団地は、1968~75年に建設された南ブロック(15棟354戸/入居率79.2%)と、1996~2000年に建設された北ブロック(8棟201戸/入居率93.5%)で構成する。このうち、老朽化した南ブロックの全棟を対象に、整備戸数を84戸減の270戸と設定して、PFI事業による再整備を行う。

 事業の実施にあたっては、PFI事業初期の入居者移転の受け皿を確保するため、従来方式で1棟(47戸)を先行して建て替え、残りの住棟(223戸)をPFI手法で建て替える。PFIの事業方式はBT方式(Build-Transfer)とし、事業範囲は「設計・施工・工事監理と入居者移転支援」とする。

 スケジュール案によると、従来方式で先行して建て替える住棟(RC造8階建延べ約2900㎡)は、2023年度に益田設計事務所で基本・実施設計が完了しており、24年度に建設予定地に立地する既存住宅の解体工事を行った。25年度当初予算に建設工事に係る事業費を計上し、25~26年度に工事を実施する。

 一方、PFI方式で整備する残りの住棟に関しては、同じく25年度当初予算にアドバイザリー業務に係る費用を計上し、25~26年度にPFI法による手続き(実施方針公表、要求水準書案公表、事業者選定、協定等の締結等)を実施する。計画では、27年度から事業を開始し、34年度頃の事業完了を見込む。

 一ケ岡団地以外の団地の現状は、大塚台団地が17棟510戸の大規模団地で、全ての棟を1973~76年に建設。青葉団地は7棟235戸の中規模団地で、4棟95戸が1973~75年度に建設されている。PFI手法の導入により、従来手法と比べて8.5%以上(約3.3億円以上)のコスト削減が見込めるという。