▲写真は訓練の模様
南海トラフ巨大地震の発生を想定した2024年度の「宮崎県総合防災訓練」が、11月4日に宮崎市と国富町、綾町の各会場で行われた。メイン会場の大淀川市民緑地では、建設関連団体による道路啓開訓練や警察・消防・自衛隊による救助・消火活動訓練といった実動訓練を行い、災害発生時の役割や組織間の連携体制を確認した。
県では毎年、防災関係機関や地域住民が参加する総合防災訓練を各地で開催。今年は、県や関係市町、自衛隊、警察、消防、医療機関、指定地方行政機関、指定公共機関、指定地方公共機関、協定締結団体・企業など約250機関から約1500人が参加した。
訓示を述べた宮崎県の河野俊嗣知事は、今年8月に発生した日向灘を震源とする震度6弱の地震に伴い、初めて南海トラフ地震臨時情報が発表されたことを踏まえ、「県民の防災に対する意識が高まっている」と訓練の意義を強調。関係機関が一堂に集う防災訓練を通じて、「様々な災害への備えを強化していきたい」と述べた。
訓練では、日向灘を震源とする巨大地震の発生を想定。道路啓開訓練では、多量の土砂が堆積した道路を宮崎県宮崎土木事務所が封鎖。宮崎県測量設計業協会は、ドローンを飛ばして上空から被災箇所を確認し、宮崎県法面保護協会が法面の安全性調査を行った。
宮崎土木事務所から応援要請を受けた宮崎地区建設業協会は、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所が所有する簡易遠隔操縦装置(ロボQS)を取り付けたバックホウをコントローラーで操作して、道路上に堆積した土砂を迅速に撤去した。
二次災害の危険性を排除したのち、フォークタイプのアタッチメントを装着した小型の建機が、道路上に積み重なった倒木を道路脇に除去するとともに、協会員が手作業で道路を均し、宮崎県舗装協会が障害物を撤去した道路の清掃作業を行った。
一方、救助・消火活動訓練では、警察や消防、自衛隊が連携し、座屈倒壊ビルや倒壊家屋、土砂で埋没した車両からの人命救助に臨んだほか、宮崎港ではヘリコプターに装着したホイスト(ウインチの一種)を使った水難救助の手順を確認した。
サテライト会場の青島地域総合センターや綾町体育館、国富町中央コミュニティセンターでは、避難所開設運営訓練や災害ボランティアセンター運営訓練、避難・消火訓練などを実施。これらの避難場所に、物流各社が支援物資を輸送する訓練も行った。
メイン会場に隣接した防災展示ブースでは、宮崎県電業協会が発電機を設置し、各団体のブースに電源を供給するとともに、地震を自動検知して通電火災を防止するブレーカーなどを紹介。宮崎県建築協会は、パネルや模型実験を通じて、災害への備えや耐震改修の必要性を訴えるとともに、来場者に防災グッズを配布した。
また、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所は、VR機能を搭載した災害対策車インフラカードを配布するとともに、流域治水の取り組みをパネルなどで紹介。宮崎地方気象台は、液状化現象や地震及び津波の発生メカニズムを紹介する模型を展示した。
宮崎地区建設業協会の本部喜好会長は、地域の安全・安心を確保するため、現場の最前線で道路啓開をはじめとする災害対応に取り組むことが建設業の責務であることを強調し、「訓練への参加を通じて、常に災害に備える意識を持ち続けたい」と話した。