▲写真は挨拶する児玉会長、講習会の模様
宮崎県舗装協会(児玉清和会長)は11月13日、道路事業に携わる技術者を対象とした2024年度の「道路技術講習会」を宮崎市内で開催した。各地の建設会社や自治体の技術系職員ら約90人が参加し、道路行政の動向や舗装技術の今後の展開、電気自動車と舗装技術、中温化アスファルト合材について熱心に学んだ。
道路技術講習会は、近年の道路交通に於ける質的・量的変化を踏まえ、道路技術に関する研鑽を重ね、技術水準を高めるとともに、高度化・多様化する社会的要請に即応する技術の研究開発を強化し、あわせて技術の振興と普及を図るため、毎年この時期に開催しているもの。宮崎県舗装協会が主催し、宮崎県が後援した。
冒頭の挨拶で児玉会長は、「宮崎県の道づくり予算が年々減少する中で、防災・減災対策をはじめとするインフラの老朽化対策や、高度化・多様化する様々な社会的要請に応えるべく、皆さんも昼夜努力されていると推察する」としたうえで、「時宜を得た本日の講演内容が、今後の技術力向上の一助になれば」と期待を込めた。
来賓祝辞で宮崎県県土整備部の桑畑正仁部長(代読=松山英雄次長)は、激甚化する自然災害を踏まえ、「強靱で信頼性の高い道路ネットワークを早期に構築する必要がある」と指摘。被災箇所の早期復旧はもとより、道路網の整備や橋梁・舗装等の老朽化対策など、県民が安全・安心に暮らせる社会の実現に全力で取り組む考えを示した。
講師を務めた宮崎県県土整備部道路保全課の椎葉倫男課長は、「宮崎県における最近の道路に関する話題」をテーマに講演。道路関係予算の推移や道路交通の現況、道路整備の方向性、国土強靭化に向けた取り組み、舗装の維持管理について説明を行った。
このうち、舗装の維持管理に関しては、国道・県道合わせて約2900㎞の道路を県が管理し、年間の舗装補修事業費が近年は概ね25億円程度で推移していることを説明。重要かつ交通量が多い路線や区間で、路盤が損傷していると想定される箇所の計画的な健全性の向上を図りながら、「予防保全型の管理」に転換を図るとした。
「舗装技術の今後の展開」をテーマに講演を行った国土研究開発法人土木研究所の久保和幸理事は、我が国に於けるこれまでの舗装技術の開発・普及の道筋を説明したほか、舗装の技術基準を仕様規定から性能規定へ移行させるためのアイデアを提案。将来の道路政策の視点を踏まえ、舗装が何を提供できるのかを考える必要があると述べた。
福岡大学工学部社会デザイン工学科の佐藤研一教授は、「電気自動車(EV)とこれからの舗装技術」をテーマに講演。EV車への給電方式として、国内外を含めて「走行中給電・停車中給電」の技術開発が進められていることを紹介し、道路の電化を進めるためには「法的な整備も含めて舗装技術及び給電技術が必要」とまとめた。
講習会ではこのほか、大淀開発・三井住建道路共同企業体大淀アスコンの幸田高三工場長と三井住建道路の田中勝己氏、大淀開発の樽園稔氏が、環境に優しく、作業条件改善にも寄与する「中温化アスファルト合材の試験施工(機械式フォームドアスファルト混合物試験施工)」をテーマに発表を行った。