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遠隔操縦装置の取付訓練 国交省と建機リース業協会

      

▲写真は取付訓練の模様

 国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所と宮崎県建設機械器具リース業協会(森実英文会長)は、9月30日に宮崎市吉野の本庄川河川敷で「簡易遠隔操縦装置(ロボQS)」の取付訓練を実施した。訓練には会員企業の職員約20人が参加。バックホウにロボQSを着脱する手順や、その際の留意点を入念に確認した。

 九州技術事務所とフジタ、IHIが共同開発したロボQSは、汎用のバックホウに簡単に取付可能な遠隔操縦装置。土石流や崩落等の災害復旧活動は、迅速な作業が必要であるにもかかわらず、二次災害の恐れがあることから、ロボQSを搭載した無人のバックホウを遠隔操作することで、作業の迅速性と安全性を確保することができる。

 一方で、九州地方整備局は、日本建設建設機械レンタル協会の九州支部及び各県部会と災害時における応急対策業務の支援に関する協定を締結。本格的な台風シーズンに備え、ロボQSの取付方法の習熟を図るため、宮崎県部会を兼ねる宮崎県建設機械器具リース業協会と装置を保有する宮崎河川国道事務所が、前年に続き訓練を行った。

 訓練では始めに、宮崎河川国道事務所の堤宏徳総括地域防災調整官が、訓練の趣旨やロボQSの特徴を説明。これまで、首都圏から技師を呼んで装置の取り付けを行っていたが、地元企業の技術者が取付作業をできるようになることで、これに伴う時間や労力を大幅に削減できるといったメリットを強調した。

 訓練では、実際にロボQSを搭載したバックホウを遠隔操縦するデモンストレーションを行い、会員企業の技術者も遠隔操縦を体験。宮崎河川国道事務所の職員が、装置の仕組みや適切に取り付けるための留意点等を説明しながら、全ての装置を一旦取り外し、再度、バックホウに装置を取り付ける訓練を行った。

 協会の森実会長は、災害発生時に会員企業が保有する資機材や人材を提供する協定の趣旨を踏まえ、「災害はいつ、どこで起こるか分からない。協定の内容を履行できるよう、訓練を通じてしっかりと準備したい」と話した。

■災害時協力会社が操作訓練

 10月1日と2日には、宮崎市吉野の本庄川河川敷で、重機オペレーターを対象とした「簡易遠隔操縦装置(ロボQS)」の操作訓練も実施した。訓練には、宮崎河川国道事務所と災害時協力会社の協定を締結している建設会社のオペレーター約30人が参加。無線機でバックホウを実際に操縦する感覚を身に付けた。

 訓練では、操作方法に関する説明があった後、実際にロボQSを装着したバックホウを参加者が遠隔操作した。宮崎市内から参加した三十代の男性技術者は、「多少のタイムラグや正面から操作する際の左右逆転などはあったが、そこまで大きな違和感は無かった。災害時協力会社として、有事にしっかりと備えたい」と話した。

 当日はこのほか、九州技術事務所が開発したシミュレーターによる遠隔操縦の訓練や、衛星を使用せずにTSで座標を取りながら施工するICT建機の操縦体験も行った。宮崎河川国道事務所の堤宏徳総括地域防災調整官は、「一度でも操作を体験し、慣れておくことが重要。地元企業のオペレーター養成に繋がれば」と期待を込めた。