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大工育成や伝統構法を学ぶ 宮崎県建築士会宮崎支部

      

▲写真は講師の池尾氏、講演会の模様

 一般社団法人宮崎県建築士会宮崎支部の技術委員会と女性部は、7月29日に宮崎市内で伝統構法等に関する講演会を開催した。株式会社住幸房代表取締役で、一般財団法人住宅産業研修財団らが運営する大工志塾の塾長を務める池尾拓氏を講師に招き、若手の大工育成や伝統構法で造られた建築物の魅力などを学んだ。

 講師の池尾氏は長崎県出身。大学卒業後、大工育成塾に入塾し、塾生として工務店に弟子入りした後、数多くの現場で経験を積みながら28歳で独立した。大工志塾では、次世代を担う若手の育成、技能の継承に注力するとともに、群馬県神流町に板倉造・石場建てという伝統構法を用いて木造の町営住宅を建設している。

 講演で池尾氏は、自身のライフワークとしている「大工育成」について説明。大工就業者数がここ20年間で半減し、年齢層別で65~69歳の就業者の割合が最も多いことを示し、「大工が減った原因は、社会に求められなくなったから」と推察した。

 その理由として、技術が必要とされる工事を施主に勧めていないこと、熟練工でなくても施工できる工法を採用していること、技術を身に付けてもその技術を発揮する現場がないこと、大工になりたいという人達を増やす活動が足りなかったことを挙げた。

 こうした要因やこれまでの経験を踏まえ、自社の育成方針を説明するとともに、工務店所属の大工が月に一回、全国各地の会場に集まり、集中講義を受講する大工志塾の取り組みを紹介。年に1度、全国の塾生が集まる集合研修を実施し、その一環として群馬県神流町に板倉造・石場建ての町営住宅を建設したことを紹介した。

 池尾氏は大工志塾のメリットとして、同期の仲間として悩みを相談・共有できることや、ライバルとして互いに切磋琢磨できることを挙げた。

 一方、伝統構法に関する講演では、軸組工法と在来工法、貫(ぬき)と貫楔(くさび)による伝統構法の定義を独自に整理するとともに、水平耐力や接合部、基礎、壁及び開口部を例に、在来工法と伝統構法の違いを説明。傾斜はするが倒壊はしない、壁及び開口部の位置を自由に決められるといった伝統構法の特長を紹介した。

 こうした説明を基に、伝統構法で建設した自宅、古民家の再生、町営住宅の建設現場や完成後の模様を写真と映像で紹介。このうち、古民家の再生では、地元の子ども達や学生らを交えて、ワークショップ形式で土壁の作成に取り組んだことを紹介した。