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旭建設が「どこでもICT」など紹介 宮崎県建設技術協会

       

▲写真は講師の木下氏と河野氏、研修会の模様

 宮崎県や県内自治体の建設技術関係者でつくる宮崎県建設技術協会は、7月25日に宮崎県防災庁舎で2023年度の研修会を開催した。旭建設株式会社の木下哲治取締役専務と河野義博土木部長を講師に招き、360度カメラによるバーチャルツアーや、遠隔操作とICTを融合した「どこでもICT」について説明を受けた。

 研修会で木下氏は、「360度カメラによるバーチャルツアーの取り組み」をテーマに講演。西米良村内の林道開設に伴う法面工事の現場で、完了検査や社内検査を安全かつ適切に行うため、ドローンに360度カメラを搭載し、飛行ルートを設定して、5秒間隔で1コマずつ撮影を行い、バーチャルツアーを作成した取り組みを紹介した。

 バーチャルツアーでは、空中を散歩している感覚で現場を細部まで確認できることや、施工管理情報とリンクさせ、吹付圧や地盤の土質情報等を確認できること、動画投稿サイトを通じて、リンクをクリックして施工状況を映像で確認できることを説明。着手前にも活用できるなどとして、「360度カメラの活躍の幅は広い」とまとめた。

 一方、「日本三大秘境 宮崎県椎葉村で未来型無人化施工への挑戦」をテーマに講演を行った河野氏は、2018年9月の台風10号で大規模な斜面崩壊が発生した椎葉村下福良の鹿野遊谷川に砂防堰堤を整備するにあたり、作業員の安全を確保するため、遠隔操作とICT技術を融合した「どこでもICT」を実現したことを紹介した。

 具体的には、土石流危険区域内である現場の問題点や課題を踏まえ、社内や三者検討会等でリスク低減策や安全対策を検討。クライミングバックホウで法面上に残された不安定土塊を事前に除去するとともに、建機リース会社の技術協力のもと、外部タブレットにICTモニターを映し出し、無人のバックホウを遠隔操作する手法を開発した。

 河野氏は、完全無人化を実現したことで、災害ゼロではなく「危険ゼロ」の現場を構築できたこと、丁張を不要としたことで、作業日数や人員を大幅に削減できたことを説明。参加者との質疑応答では、災害等の特別な現場だけでなく、通常施工で使われてこそ「どこでもICT」が真価を発揮するとして、施工機会の拡大などを訴えた。

 360度カメラによるバーチャルツアーとどこでもICTの取り組みは、一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会の第27回「土木施工管理技術論文・技術報告」で、いずれも優秀賞を受賞。どこでもICTは、一般社団法人日本建設機械施工協会の23年度「日本建設機械施工大賞」で、地域賞部門の最優秀賞を受賞している。