宮崎県は、一般会計補正額を279.7億円とする2023年度6月補正予算案(肉付け予算案)の概要を発表した。当初予算と6月補正予算を合わせた一般会計の総額は6838.2億円となり、当初予算ベースで過去最大となる。補正予算案のうち、公共事業費等を含む投資的経費は131.1億円。当初予算との総額は、前年比10.8%増の1287.3億円となる。
次年度予算の編成時期にあたる12月に知事選挙が実施されたことから、23年度の当初予算は骨格予算として編成していた。このため、今回の6月補正予算案を、知事の政策提案等を踏まえた、いわゆる「肉付け予算」と位置付ける。
コロナ禍や物価高騰等の影響を受けた本県を、元の成長軌道にいち早く戻すための「宮崎再生へ全速力」と、新たな成長軌道に乗せるため、宮崎の強みを更に伸ばし、新たな価値を創造する「未来創造のスタート」の2本柱を据え、「宮崎再生・創造予算」として編成した。
これを踏まえた6月補正予算案の一般会計は279.7億円で、当初予算と6月補正予算を合わせた一般会計の予算規模は6838.2億円。対前年度比で423.5億円(6.6%)の増額となり、当初予算ベースで実質的に過去最大となる。
6月補正後の予算総額を性質別に見ると、義務的経費は、人件費及び公債費の減等により2342.0億円(同3.3%減)、投資的経費は、普通建設事業費の増等により1287.3億円(同10.8%増)、その他一般行政経費は、積立金や貸付金、補助費等の増等により3209.0億円(同13.4%増)となった。
区分別では、宮崎県再生基金積立金(25.0億円)を計上した総務費が同102.7億円(28.0%)の増額、中小商業活性化事業費(10.2億円)を計上した商工費が同136.2億円(26.9%)の増額、県単独公共事業(68.2億円)や補助公共事業(58.3億円)を増額した土木費が同64.2億円(10.0%)の増額となる。
6月補正予算案の主な事業では、防災・減災、県土強靱化につながる県単独及び補助公共事業の追加実施に128.2億円、冷蔵庫やエアコンといった省エネ家電を購入した県民に対する購入費用の補助に1.5億円、省エネ効果の高い空調設備や照明設備を導入した県内事業者に対する導入費用補助に1.1億円を計上。
また、AIやICTなど県内事業者の規模や業種に応じたデジタル技術等の導入経費補助に1・5億円、特別高圧で受電する中小企業に対する電気料金補助に6.9億円、国の配合飼料価格安定制度の生産者積立金相当額等の補助に4.9億円を充てる。
国内外に本県の魅力を発信するため、航空会社や旅行会社に対する国際定期便再開等に向けた運航経費の支援、宮崎空港を発着する国際線を利用する全県民へのパスポート取得支援等に1.5億円を計上する。
公用車(電気自動車)の導入や充電スタンドの設置、県庁7号館と延岡総合庁舎への太陽光発電設備の設置等に0.3億円、ドローンを活用した再造林に取り組む事業体へのドローン国家資格取得費用補助に0.1億円、家畜排せつ物による集中型バイオガス発電等の地域資源の有効活用に関する事業に0.5億円を計上する。
このほか、宿泊事業者の生産性向上やスポーツ観光等の受け入れ促進に向けた機器・設備の導入等費用補助に1・3億円、世界レベルのスポーツキャンプに対応できる木の花ドームの人工芝の高質化等に1.6億円、全県での新たなキャンプ誘致に向けたスポーツチーム関係者等の視察実施に500万円を充てる。
6月補正予算案に於ける各部局の主な新規・重点事業は次のとおり(数字は補正額、カッコ内は補正後総額、単位=千円)。
*総合政策部
▽宮崎再生基金積立金[2,500,000]宮崎再生に向けた施策に要する経費として、基金に追加で積立を行う。
▽「物流の2024年問題」に向けた物流効率化対策事業[33,500]トラック事業者及び船舶運航事業者に対して、高速・有料道路利用料補助及びモーダルシフト推進のための取組に要する費用の補助等を行う。
▽交通・物流事業者燃料高騰等対策事業[1,018,254]交通・物流事業者に対して、原油価格の高止まりの影響を軽減するため、燃料高騰分を補助する。
▽「地域運営組織」形成促進事業[20,861]市町村等に対して、外部専門家による地域運営組織の形成支援を行うほか、同組織の形成・運営に要する費用を補助する。
▽産業デジタル実装支援事業[153,000]県内事業者に対して、規模や業種に応じたデジタル技術等の導入に要する費用を補助する。
▽産業デジタルリスキリング推進事業[9,931]県内事業者に対して、社内における階層ごとに必要とされるデジタル技術等のリスキリングを支援する。
▽みやざきDX技術体験展示会事業[16,246]県内事業者向けに、最新のデジタル技術等を体験しながら理解してもらうための展示会を開催する。
▽自治体DXサポート強化事業[49,513]デジタル高度専門人材を活用し、システム調達やデジタル技術を活用した業務改革等の自治体DXの推進を支援する。
▽ひなたGIS防災オープンデータ利活用促進事業[43,956]浸水想定区域などの暮らしの安全・安心に関わる重要な情報をひなたGISを活用して、スマートフォンやSNSを介し、県民に提供する。
*福祉保健部
▽中山間地域における医療デジタル化推進事業[7,776]中山間地域においてオンライン診療などデジタル化を推進するための検討会の設置や診療機器等の導入支援等を行う。
▽未来につなげる少子化対策調査事業[12,539]外部有識者を交えた研究会の開催や市町村毎の少子化要因の見える化を図り、本県の現状分析や今後の対策を検討する。
*環境森林部
▽ゼロカーボン・ドライブ推進事業[16,500]県公用車(電気自動車)の導入や充電スタンドの設置、充電に供する太陽光発電設備の導入等を行う。
▽県有施設太陽光発電設備等設置事業[15,500]県有施設に太陽光発電設備の設置等を行う。
▽省エネ家電導入支援事業[150,000]県民に対して、対象となる省エネ家電の購入に要する費用を補助する。
▽県内事業者省エネ設備導入支援事業[105,111]県内事業者に対して、省エネ効果の高い空調設備や照明設備の導入に要する費用を補助する。
▽蓄電池・EVを活用した再エネ電力自家消費促進事業[110,000]太陽光発電設備を導入済み又は導入予定の県民及び県内事業者に対して、蓄電池や電気自動車等の導入に要する費用を補助する。
▽ドローン飛行許可証取得事業[4,458]県職員がドローンの国家資格を取得する。
▽国定公園・県立自然公園誘客等促進事業[13,500]市町村に対して、国定公園・県立自然公園の受入環境整備に要する費用を補助する。
▽臨時県単治山事業[10,000(14,500)]小規模な荒廃林地又は荒廃のおそれのある林地で、緊急に復旧を行う。
▽県単集落防災事業[50,000(56,000)]市町村の管理する治山施設等において、治山施設の改良や災害時の応急的措置を行う。
▽自然災害防止治山事業[10,000(13,000)]市町村の地域防災計画に基づく災害危険区域に指定された林地等の復旧を行う。
▽暮らしを守る山村集落環境整備事業[30,000(35,331)]中山間地域において、近年激甚化する豪雨等により、ライフラインや林業施設が被災している集落を対象に、施設の整備等を行う。
▽林業用ドローン操縦者技能証明取得支援事業[10,000]ドローンを活用した再造林の推進に取り組む事業体に対して、ドローンの国家資格取得に要する費用を補助する。
▽ひなたのチカラ林業担い手確保育成推進事業[13,000(27,500)]ひなたのチカラ林業経営者に対して、林業就業者の負担軽減につながる資機材等の整備に要する費用を補助する。
▽原木流通情報デジタル化推進モデル事業[6,000]宮崎県森林組合連合会に対して、山元土場から原木市場等までのデジタル情報のネットワーク構築に要する費用を補助する。
*商工観光労働部
▽中小企業支援ネットワーク経営支援強化事業[5,270]宮崎県信用保証協会に対して、中小企業等の支援者の経営支援スキルアップ及び多職種専門家の派遣等に要する費用を補助する。
▽物価高騰等対策プレミアム付商品券等発行事業[1,017,700]市町村に対して、地域の実情に応じて行うプレミアム付商品券等の発行に要する費用を補助する。
▽みやざきICT産業を担う人材育成事業[3,854(9,969)]県内企業におけるICT部門の従事者等を対象に、デジタルスキルに係る連続講座を開催する。
▽ものづくり企業物価高騰対策設備等改修支援事業[200,000]県内ものづくり企業に対して、生産性向上のための生産設備の改修に要する費用を補助する。
▽下請企業振興事業費補助金[4,094(18,846)]宮崎県産業振興機構に対して、県内中小企業が参加する都市圏の大規模展示会に出展する費用を補助する。
▽特別高圧電気料金激変緩和事業[688,244]特別高圧で受電する中小企業に対して、国の電気料金激変緩和策事業(高圧契約対象)に準じて、高騰する電気料金を補助する。
▽食品製造事業者規模拡大支援事業[110,000]OEMの受注や事業拡大に積極的な食品製造事業者に対して、機器・設備の導入に要する費用を補助する。
▽技能検定実技試験受検手数料助成事業[9,145]若年者の技能検定実技試験受検手数料の負担を軽減するための費用等を補助する。
▽宿泊業の生産性・サービス向上支援事業[128,500]宿泊事業者の生産性向上やスポーツ観光等の受入れ促進に向けた機器・設備の導入費用を補助する。
▽ポストコロナに向けた稼ぐ観光地域づくり推進事業[10,000(54,849)]観光関連事業者による観光資源の掘り起こし・磨きあげや県外観光客の誘客につながるイベントの支援等に要する費用を補助する。
▽県内旅行宿泊応援クーポン付与事業[793,000]県内宿泊者等に対して、県内の土産店等で使用できるデジタルクーポンを付与するキャンペーンを実施する。
▽スポーツランドみやざき推進施設改良事業[160,000]木の花ドームを世界レベルのスポーツキャンプに対応できるよう、人工芝の高質化等を実施する。
▽「世界とのつながり」強化推進事業[17,313]海外を訪問し、国際・経済交流を行う各種団体(教育機関・民間団体等)への補助等を行う。
*農政水産部
▽G7から始まる官民連携農業プロジェクト事業[47,000]官民連携によるプラットフォームを創設し、地域資源の有効活用に向けた取組の事業化を加速させ、持続可能な農業への転換を支援する。
▽山間地域農業持続化モデル構築事業[18,739]山間地域への移住希望者等に対して、農業を核とした複合的経営等の創業計画策定や設備整備等に要する費用を補助する。
▽食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業[178,000]輸出拡大を目指す食品製造事業者等に対して、HACCP等の基準を満たす施設整備に要する費用を補助する。
▽農業試験研究体制強化事業[10,000]農業試験研究の高度化・効率化を図るため、研究体制の強化に向けた調査・検討を行う。
▽被覆資材等価格高騰対策緊急支援事業[451,559]農業者に対して、生産コストに占める割合が高く、作物生産に影響が大きい被覆資材の価格高騰分等を補助する。
▽持続可能なみやざきグリーン農業構築事業[14,986(58,569)]国の「みどりの食料システム戦略推進総合対策」に基づくモデル的先進地区となった市町村に対して、有機農業への取組に要する費用を補助する。
▽加工・業務用野菜日本一産地確立事業[9,360]産地の中心となる大規模経営体に対して、生産性向上や産地内における分業化の推進などの取組に要する費用を補助する。
▽農業水利施設電気料金高騰対策支援事業[28,800]土地改良区等に対して、農業水利施設に係る電気料金高騰分等を補助する。
▽農業外国人材確保・定着体制構築事業[7,500(16,910)]農業分野における外国人材の受入れ体制構築に向け、公営住宅活用推進に向けた県営住宅でのモデル的な受入れや農作業請負方式の取組強化を図る。
▽農地中間管理機構等支援事業[19,099(533,611)]農地を拠出する地権者等に対して協力金を交付し、農地集積・集約による大規模経営体の育成を図る。
▽漁業用製氷施設の省エネ推進対策事業[22,800]漁業者に氷を生産・供給している宮崎県漁業協同組合連合会に対して、製氷施設に係る電気料金高騰分等を補助する。
▽県単漁港建設事業[60,000(66,227)]漁港区域内の施設を改良し強靱化を図ることにより、災害の発生を予防、拡大を防止し、安心して暮らせる漁港地域を整備する。
*県土整備部
▽建設技術者事務効率化アドバイザー緊急派遣事業[6,950]建設技術者の事務作業効率化を推進するためのセミナーの開催やアドバイザー派遣による伴走支援を行う。
▽公共道路新設改良事業[4,452,533(16,543,202)]整備の遅れている国道及び地方道の改築事業を推進し、強靱で信頼性の高い道路ネットワークの構築を図る。
▽県単特殊改良事業[990,000(1,415,000)]避難路に指定されている県道を、災害に強い道路として整備し、救命・救助活動の支援や緊急車両の通行ルートの確保を図る。
▽県単道路維持事業[300,000(3,329,186)]県管理道路の重要な道路施設の保守点検や修繕等を行うとともに道路施設の個別施設管理計画に基づく補修・更新等を行う。
▽県単舗装補修事業[1,559,000(2,299,000)]道路舗装管理計画に基づく道路舗装の補修・打換等を行い、道路利用者の安全の確保や利便性の向上、円滑な通行の確保を図る。
▽公共河川事業[34,049(3,256,908)]河川改修、河道掘削等により水害の発生を防止し、河川管理施設の計画的な維持管理を行うことで防災・減災対策を推進する。
▽県単河川改良事業[1,920,000(2,223,147)]国庫補助の対象とならない局部的な河川の改修や堆積土砂対策、海岸保全施設の補修管理等を実施する。
▽ダム施設管理事業[1,253,000(1,510,900)]ダムが有する洪水調節、流水の正常な機能の維持が発揮されることを目的に、ダム設備の保守点検、及び改良・修繕、堆積土砂等の撤去を実施する。
▽公共砂防事業[370,362(2,941,741)]土石流などにより被害が及ぶおそれのある地域に砂防設備等を整備するほか、土砂災害警戒区域等の指定を行うなど、総合的な土砂災害対策を実施する。
▽県単公共砂防事業[160,000(312,800)]砂防えん堤や渓流の堆積土砂除去、砂防施設等の維持修繕を実施する。
▽県単公共急傾斜地崩壊対策事業[320,000(447,457)]急傾斜地崩壊防止施設の維持修繕を実施するとともに、国庫補助の対象とならない急傾斜地崩壊危険箇所等において、市町村が行う施設整備を補助する。
▽公共港湾建設事業[346,000(1,672,777)]地域産業の基盤となる重要港湾等の整備を実施する。
▽公共海岸保全港湾事業[280,000(957,250)]比較的発生頻度の高い津波(レベル1津波)への対策が必要な港湾において、海岸保全施設の整備等を実施する。
▽みんなで取り組む「美しい宮崎づくり」推進事業[8,858]小学生から高校生を対象とした景観学習や美しい宮崎づくりを推進する活動への補助、地域住民・企業との協働で取り組む植栽づくり等を行う。
▽公共街路事業[267,887(1,244,072)]街路の改築等を推進することにより、都市部における安全で円滑な交通を確保するとともに、良好な都市空間や市街地環境を形成し、県民の利便性向上を図る。
▽県単都市公園整備事業[320,000(596,000)]都市公園の機能を十分に発揮できるよう、排水機場の更新や防災放送設備の整備を実施する。
▽公共県営住宅建設事業[83,767(1,242,698)]住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を図るとともに、少子・高齢化社会等に対応する住宅の整備を図る。
*教育委員会
▽宮崎の産業を支える高校生協働活動事業[4,816]高校生同士が連携して地域産業に関わるプロジェクト学習を行うことで、宮崎の産業を支える人材育成を図る。
▽オンラインによる先端的学習実践研究事業[6,000]先端技術と実体験を融合させた教育活動を展開し、大学や研究機関と連携したカリキュラムの開発を行うことで、新たな価値を創造できる生徒を育成する。
▽未来を創る!高等特別支援学校整備事業[107,000]知的障がいの生徒を対象にした新たな学びの場として、職業学科を置く高等特別支援学校を設置する。
▽特別支援学校防災設備整備事業[15,214]被災時に迅速な避難ができるよう、障がいの種類や程度に合わせた設備を整備する。
*公安委員会
▽ドローン活用強化事業[3,599]ドローンの増強及びドローン操縦士の育成を実施する。
=おわり=