延岡市は、障がい福祉分野における「親なき後の暮らし支援策」を展開するため、わかあゆ支援学校跡地(松山町)に総合連携支援拠点を整備するとした調査報告書の結果を公開した。報告書では、衣・医・食・職・住の「ごちゃまぜでつながる安心創造拠点」を整備する方針が示されており、市は今年度、施設整備の具体化に向けた検討を行う。
高齢化社会の進展に伴い、障がい者の「親なき後の暮らし支援策」が課題となっていることを踏まえ、市は2021年度に支援策の方向性を検討するための調査研究を実施。これを踏まえ、当事者や関係団体等へのヒアリング、先進事例調査、専門家による議論を行い、総合的な支援に向けた拠点整備の方向性等を調査報告書としてまとめた。
報告書では、相談や緊急時の受け入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくり、就労支援、医療資源といった拠点整備の視点や、地域支援体制づくりの方向性を整理。拠点整備のコンセプトに、「衣/医(い)、食/職(しょく)、住(じゅう)のごちゃまぜでつながる安心創造拠点」を掲げた。
拠点施設の機能面に関しては、①障がい福祉サービスに関する情報発信・認知度の向上②つなぐ場、つながる場の創出③障がい福祉サービスの充実④QOL(QualityOfLife)の向上、障がいのある方の活躍―の4つの視点を踏まえ、各視点における機能や整備するにあたって考慮すべき課題を整理。
これを踏まえ、未活用の廃校施設である「わかあゆ支援学校跡地」の活用推進と合わせて、地域生活支援拠点等の「多機能拠点型」としての総合的な連携支援の展開に向けた拠点整備のイメージを具体化するとともに、想定される機能を全て拠点内に整備すると仮定した場合の「安心創造拠点」のイメージ図も示した。
拠点整備の全体像としては、障がい者や家族の就労や医療を含めた生活を支える機能と、市内の相談支援拠点と連携したネットワーク形成が不可欠であることから、拠点内での利用者の生活や文化活動を伴走型でコーディネートする中核的な役割として、「(仮称)交流・相談・ナビゲーションプラザ」の整備を想定する。
これと併行して、拠点内で活躍する人材の育成や発掘、拠点内の情報交換の場などを担う交流の場を整備することで、ネットワークやコミュニティづくりなどの連携体制を強化する。さらに、支援の場として、市内に不足している障害福祉サービスを整備し、その後に専門人材や事業者の誘致など調整が必要なサービスを充実させる。
同時に、障がい者やその家族、拠点に訪れる地域住民のQOL向上に向けた機能として、スポーツ設備や各種イベントが開催できる多目的広場、屋外活動ができるる憩いの場などを随時整備することで、生活支援だけではなく、活躍を推進できる施設とする。
報告書では、具体的な整備内容に関して、施設の改装や必要となる費用、人材の確保など、調整の程度とそれに連動した整備時期(短期・中期・長期)なども示した。全体を通して、建物の建て替えや大規模な修繕・開発等が不要なものや、整備に関する調整が容易なものから段階的に事業を展開していくことを想定している。
拠点施設の整備に向けて、市は今年度に「医療」「就労」「生活支援」「活躍支援」に特化した4つの分科会と、各分科会の検討内容に横断的に検討する拠点整備総合検討会議を設け、具体化に向けた検討を行うとしている。拠点整備に係る調査報告書や市長記者会見の模様は、延岡市のホームページで確認できる。