延岡市は、2020年度に策定した北方地域ユネスコエコパーク拠点施設整備基本構想に基づき、「北方地域ユネスコエコパーク準拠点施設整備計画」を策定した。準拠点施設に位置付ける旧下鹿川小学校を、登山やロッククライミングなどアウトドアスポーツ等の体験拠点としての機能を併せ持った宿泊型滞在施設に改修する。
基本構想では、大崩山のふもとに位置し、身近にエコパークを体感できる鹿川キャンプ場周辺を「拠点施設」、ロッククライミングの聖地として愛好家の利用も多い比叡山周辺の下鹿川地区を「準拠点施設」、幹線道路に位置する道の駅北方よっちみろ屋を「情報発信・啓発拠点施設」と位置付け、各施設の整備方針を示している。
このうち準拠点施設と位置付ける旧下鹿川小学校(延岡市北方町下鹿川申)の敷地内には、RC造3階建延べ763㎡の校舎棟、木造平屋建延べ543㎡の体育館、S造平屋建延べ325㎡の屋根付運動場のほか、旧校長住宅や旧職員住宅(いずれも木造平屋建)が残存しており、体育館は現在も地域の活動の場として使用されている。
整備計画では、地域住民のニーズ調査等を踏まえ、施設のコンセプトを「ユネスコエコパークの泊まれる基地として、自然を学ぶとともに、クライミングなどの“ここにしかない体験”に一歩踏み出すための拠点へ」と設定。想定されるターゲット別に求められる導入機能や建物空間使用方法を検討し、各施設の整備内容をまとめた。
具体的には、旧校舎棟と旧職員住宅及び旧校長住宅を宿泊室(定員60人)に改修。旧校舎棟の1階には、シャワー室や浴室・洗面室を増築するとともに、情報提供(学習)室やカフェスペース、自炊キッチン、特産品や土産品等の売店を配置する。3階には、談話及びレクリエーション室を兼ねた食堂のほか、厨房及び配膳室を配置する。
一方、体育館に関しては、ボルダリング設備の充実とトレーニング器具の設置、更衣室・シャワー室の増築を行う。
宿泊施設等に再整備する校舎棟に関しては、1~3階の内部改修(床材の保護塗装、部分的なクロスの張替え、間仕切壁等)やエアコン設置(20基)、1~2階のトイレ改修、屋上及びベランダの防水改修や外壁改修及びサッシのシーリング改修などを計画。旧校長住宅と旧職員住宅は、耐震改修と不具合の修繕程度にとどめる。
現時点に於ける概算の施設整備費は1億5500万円程度。財源には、過疎対策事業債の活用のほか、ガバメントクラウドファンディングやPFI等の手法も検討する。改修後の管理運営方法に関しては、基本構想の目的を最大限発揮するため、拠点施設と位置付ける鹿川キャンプ場との一体的な管理運営方法なども含めて検討する。
準拠点施設整備計画は、ホームページや市役所市民スペース、各総合支所及び支所、コミュニティセンターなどで公開し、市内居住者を対象に6月2日まで意見を募集する。