宮崎県は、県内産業に於けるDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するため、各産業の優良事例を掲載・紹介したデジタル技術活用事例集(2022年度更新版)を作成し、ホームページで公開した。県内企業がデジタル技術を有効活用した事例等を広く紹介し、県内事業者がDXに取り組む際の参考にしてもらう。
新たに公表した22年度版は、20年度及び21年度に作成した事例集に、新たに事例を追加して改定したもの。建設分野のほか、▽農畜産分野▽製造分野▽森林分野▽水産分野▽教育、学習支援分野▽医療、福祉分野▽観光分野▽情報通信分野▽サービス分野▽まちづくり分野▽卸売、小売分野―の各分野ごとに事例を紹介している。
このうち建設分野では、株式会社アシストユウ(宮崎市)が展開するAI移動式監視カメラを紹介。電源を挿すだけで簡単に起動できることや、耐久性が高く10年間ノーメンテナンスで設置が可能であること、無線LANを使用することで配線工事が不要であること、遠隔で自由に操作できることなどをメリットに掲げる。
また、建設業における新技術の活用や効率化、3次元データへの取り組み支援する株式会社FOF(宮崎市)の事例では、インフラ点検等で、実際の現場作業に先立って行う現地踏査をVR化し、立地状況や損傷の程度を詳細に把握することで、点検方法や必要な機材等の検討材料とするVR踏査報告サービスを紹介している。
一方、株式会社志多組(宮崎市)が盛土施工でクラウド型転圧管理システムを導入した事例では、人員の削減に繋がったことや、現場での回数記録・写真撮影・既定の密度試験等の作業が不要になり、管理業務が大幅に効率化されたこと、施工全面の転圧データがシステムに記録され、品質の向上に繋がったなどの成果を紹介している。
また、旭建設株式会社(日向市)の取り組みでは、現場での施工にICTを導入することで、生産性向上や省人化に繋げていることを紹介。特殊な技能がなくても重機を操作できたり、経験が浅い職員であっても高精度な測量が可能であることを示し、こうした取り組みが若者にとって魅力ある建設業界への変革に繋がるとしている。
事例集ではこのほか、建設業における労務安全関係の書類作成を、AI技術等を用いた入力補助機能で効率化し、作業者の労働負荷低減を実現した株式会社坂下組(小林市)の取り組みを紹介。現場のICT化のみならず、書類作成作業にAI技術等を活用することで、業務の効率化や安全性の向上に繋がったことを示した。
県はこのほか、DXをはじめる前に知っておくべきことや県内企業5社のDXの取り組み、取り組みを通じて見えてきたDXの効果と落とし穴をまとめた「DXのススメ!」(23年3月時点)もホームページで公開。希望者に対して、22年度に開催したDX関連セミナーのアーカイブ動画のURLを公開する取り組みも行っている。
詳細は宮崎県のホームページ(トップページ>県政情報>デジタル化推進>その他>デジタル技術活用事例集・DXのススメの公開、DX関連セミナーのアーカイブ動画URLの公開)で確認できる。問い合わせ先は、総合政策部産業政策課産業デジタル担当(電話0985-26-7682)。