国土交通省九州地方整備局川内川河川事務所は、2023年度予算に基づく事業概要を明らかにした。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策として、河道掘削や堤防整備、樹木伐採、インフラの老朽化対策等を推進するとともに、23年度から新たにえびの市原田地区等で下方井堰改築事業に新規着手する。
川内川河川事務所の23年度予算に於ける事業費(工事諸費を除く)は、河川改修費が約18億円、河川工作物関連応急対策事業費が約1億9500万円、河川維持修繕費が約12億3900万円、総合水系環境整備事業費が約1億2600万円で、前年度と概ね同額を確保した。
河川改修事業では、薩摩川内市街部の治水安全度向上のため、天辰第二地区まちづくり一体型引堤事業を継続。20年度に着手した堤防整備(引堤)を継続するとともに、高水敷掘削等を実施する。
19年度に着手した川内川高潮対策事業では、河口部に位置する船間島・久見崎地区で台風通過時に海水が越波し、工場倉庫等の冠水及び市道の路面損傷等が発生していることから、堤防高さが不足している箇所の嵩上げなどに取り組む。
羽月川の伊佐市堂崎地区や湧水町栗野地区では、洪水による浸水被害の軽減を図るため、河道掘削や樹木伐採を実施しており、23年度も引き続きこれらの取り組みを実施し、治水安全度の向上を図る。
河床低下が進む川内川上流部のえびの地区では、河川管理施設への影響が懸念されているため、12年度から河床低下対策として河床に巨石等を敷並べる工事に着手している。23年度も侵食対策として河床低下対策工事を促進する。
23年度に新規着手する下方井堰改築事業(えびの市原田地区外)では、川内川上流に位置する既設の下方井堰(固定堰)が洪水の流下を著しく阻害し、堰上げによる水位上昇の影響が懸念されることから、治水安全度の向上を図ることを目的に、下方井堰の改築を実施する。23年度は用地調査を実施する。
一方、河川工作物関連応急対策事業では、設置後42年が経過し、老朽化が進行している真幸堰(えびの市)の開閉機更新を実施。総合水系環境整備事業では、21年3月に変更した川内川水系かわまちづくり計画に基づき、薩摩川内市の天辰地区で高水敷整正に取り組む。