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越野尾2工区の着手など了承 宮崎県公共事業評価委員会

 宮崎県公共事業評価委員会(村上啓介委員長=宮崎大学工学部教授)は、3月17日に2022年度第3回会合をオンラインで開催し、西米良村の国道219号越野尾2工区に新規着手することなどを了承した。計画延長は1.3㎞で、区間内には橋梁3箇所やトンネル1箇所を整備する。23年度に新規着手し、32年度の完成を目指す。

 公共事業評価は、一定規模以上の事業の必要性と効果を客観的に評価することで、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。

 17日に行われた第3回会合では、県土整備部の道路事業「一般国道219号越野尾2工区」(西米良村)の事前評価のほか、同じく港湾事業「油津港東地区」(日南市)の再評価を実施。各事業課が事業の概要や必要性等を説明し、県が示した対応方針の原案どおり、事業に新規着手及び継続することを委員が了承した。

 このうち、一般国道219号は、九州縦貫自動車道と東九州自動車道を結び、広域的なネットワークを形成する道路。西米良村で生産されるスギ原木等の輸送ルートとして利用されるなど、地域産業を支える重要な路線であり、南海トラフ地震発生時の応援部隊や緊急物資輸送の移動ルートとして、道路啓開活動を支援する路線でもある。

 ただ、路線内の約9㎞が未整備であり、越野尾2工区は道路線形が悪く、幅員狭小区間が連続しているため、大型車の離合が困難な状況にある。台風等に伴う道路斜面の崩壊といった災害も発生しており、今後も異常気象時には交通途絶の危険性が懸念されることから、安全で安心な交通の確保と物流の効率化を目的に、道路改良を実施する。

 計画延長は、整備中の越野尾工区と越野尾二之渡工区に挟まれた約1.3㎞(幅員7m)で、構造規格は3種4級、計画交通量は1日あたり1300台、設計速度は時速50㎞とする。区間内には、橋長164m、同92m、同216mの橋梁3箇所のほか、トンネル1箇所(374m)を整備する。全体事業費は78億円を見込む。

 当該工区の整備によって、東九州道の西都IC~西米良村間の移動時間が約7分短縮され、走行性も向上することから、東九州道からの観光圏域が拡大し、観光客の増加が期待できる。また、フルトレーラー(連結車)による木材の大量輸送が可能となり、西米良村をはじめとする沿線地域の物流輸送の効率化と取引先の拡充を支援する。

 このほか、西都児湯医療センターをはじめとする高度な医療施設までの救急搬送時間の短縮や搬送中の横揺れの抑制等が期待され、患者への負担軽減や広域的な搬送体制の確保に寄与するとともに、信頼性の高い道路ネットワークを形成することで、災害時における安全・安心な交通の確保、緊急物資の輸送体制の強化を図る。

 一方、再評価の対象となった港湾事業の油津港東地区は、増加する貨物や船舶の大型化に対応するため、防波堤や防波護岸、岸壁の耐震強化、泊地、埠頭用地等の整備を行うもの。整備中の西防波堤で事業を完了する予定だったが、22年3月に港湾計画を改定したことに伴い、岸壁延伸や防波堤の撤去・整備といったメニューを追加する。

 具体的には、東地区の既設岸壁(第9・10岸壁)の延長が不足し、船舶の大型化に対応できていない状況にあることから、水深12mの第10岸壁をさらに75m延伸。船舶の移動時に支障となる東防波堤の一部を撤去するとともに、新たに延長100mの東防波堤や水深10mの泊地(1.4㌶)、埠頭用地(0.4㌶)を整備する。

 こうした整備メニューの追加に伴い、事業費に71億3000万円を追加するとともに、事業期間を6年間延長して、完了予定年度を30年度に変更する。22年度末時点の事業進捗率は、変更後の事業費ベースで87%となる。