建設ネット企画画像 四角 四角

新庁舎は現在地建替、30年度の完成目標 宮崎市

▲配置案④のイメージ図

 宮崎市の清山知憲市長は、2月6日に開かれた市議会全員協議会で、新庁舎の建設場所を「現庁舎敷地」に決定したと発表した。行政としての機能性を重視し、移転候補地としていた宮崎中央公園と利便性や防災拠点性の面で大きな差がないことから、現在地に建て替える方針を決めた。2030年度の庁舎棟完成を目指し、基本計画の策定や設計、工事を順次進める。

 防災拠点としての機能確保など、現庁舎が抱える課題を踏まえ、市は庁舎を建て替えで整備することを決定。建設場所に関しては、市民らでつくる検討会の報告や市議会からの提言を踏まえ、防災・利便性・まちづくりなどの観点から、現在地での建て替え案と、市有地・国有地を活用して宮崎中央公園に移転する案を示した。

 昨年11月には、市議会全員協議会に基本構想の検討資料を提示。新庁舎の規模を12階建延べ4万1000m2程度とし、現地での建て替え4案と宮崎中央公園への移転2案の配置案6案を検討していることを説明したうえで、市議会議員や市民の意見、庁内での検討内容を踏まえ、今年度内に建設場所を決定する考えを示していた。

 建設場所の決定に際しては、市民の利便性や防災拠点性の確保、まちづくりへの影響、事業の実現性及び事業費を重視。先に示していた検討資料のうち、1棟に集約して現在地に建て替える「配置案④」を基本に検討を進めるが、事業費抑制の観点から、仮設庁舎を必要としない分棟型の「配置案②」も含めて、基本計画内で精査する。

 配置案④では、橘公園の一部を一時的に廃止して、仮設庁舎(S造3階4500m2程度)を建設し、第二庁舎の機能を仮設庁舎に移転。その後、第二庁舎を解体し、庁舎1棟(12階建4万1000m2)を建設して、解体後の本庁舎跡地に立体駐車場を整備するとともに、橘公園も再整備する。概算事業費は約319.2億円を見込む。

 一方、仮設庁舎が不要な配置案②では、既存の会議室棟を解体し、新庁舎1期棟(12階建約1万1000m2)を建設。完成後に第二・第三庁舎の機能を移転して既存庁舎を解体し、跡地に新庁舎2期棟(12階建約3万m2)を建設する。本庁舎の機能を移転後、跡地に立体駐車場を整備する。概算事業費は約297.5億円を見込む。

 市民の利便性向上の観点から1棟集約の配置案④を基本に検討するが、配置案②の各棟の上層部に連絡通路などを設けて一体的に利用するなどの方策も検討する。災害リスクへの対応として、敷地の嵩上げや液状化対策、免震構造の導入を検討するとともに、今後、行政DXを更に推進することで、来なくても用事が済む市役所を実現する。

 配置案④の場合のスケジュールは、22年度中に基本構想をまとめ、23年度に基本計画の策定、24~25年度に設計業務、26~30年度に庁舎棟建設工事を行い、31年度に全庁運用を開始する予定。31~32年度に立体駐車場建設工事を行う。DB方式やPFI方式などを採用した場合は、スケジュールを変更する可能性がある。

 今後は、23年度に新たに基本計画策定支援業務を外注する考え。その中で、導入する機能の整理や建物配置、建物内部の空間構成、事業手法などの基本設計に向けた要件整理を加速させる。工事期間中は、仮設庁舎の設置や駐車場の確保対策、動線配慮といった課題があるため、市民サービスに影響がないよう、慎重に検討を進める。

 また、橘公園や市民プラザといった公園・公共施設が隣接し、大淀川に近接しているポテンシャルを活かし、橘公園との一体的な整備や市民プラザとの連携も検討する。民間事業者にサウンディングを実施し、市場性やPark-PFIなどの民間活力の導入に向けた検討を行い、市民に親しまれる新たな空間の創出に取り組む。

宮崎市の発表資料