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砂防の仕組みや役割学ぶ 小学校で出前授業など開講

      

▲写真は出前授業の模様

 宮崎県建設業協会女性の会(宮島百合子部会長)は12月13日、高原町立狭野小学校で土木や砂防に関する出前授業と体験学習を行った。同校の3~6年生16人を対象に、建設業が果たす役割や災害のメカニズム、砂防施設に関する授業を行ったほか、町内の建設現場で行われた体験学習で、レンガタイル敷きなどに挑戦した。

 出前授業や体験学習を通じて、子ども達に建設業の役割や魅力を知ってもらおうと、女性の会が企画・開催したもの。今年が霧島火山砂防事業50周年にあたることや、2011年に発生した霧島連山・新燃岳の噴火等に伴い、町内で砂防施設の整備が進められていることから、「砂防博士になろう!」を授業のテーマに掲げた。

 午前中に同校で行われた出前授業では、噂の土木応援チーム・デミーとマツのマツ(松永昭吾工学博士)を講師に招き、建設業や災害について説明。災害はなぜ起こるのかを生徒と考え、断層から過去の地震の発生時期を読み取ることができることなどを説明し、「原因を追及することで、命を守ることができるようになる」と説いた。

 また、自身が海外で取り組んだ水プロジェクトを紹介し、道路や橋梁、河川、鉄道、空港、上下水道など、社会問題を解決するためのものづくりを建設業が担っていることを説明。「建設は優しさをカタチにする仕事」であり、「建設の力で人を幸せにすることができる」として、「興味があれば将来は建設業で働いて」と呼び掛けた。

 同じく講師を務めた国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所の若手職員は、新燃岳の噴火に伴う空振や降灰、噴石によって、周囲の建物の窓ガラスが破損するなどの被害が生じたことを説明。これに関連して、土石流の発生メカニズムなどを説明し、周囲への被害を防ぐために、砂防堰堤を整備していることを紹介した。

 このほか、町内に設置している砂防施設の場所や、砂防堰堤を造る工程を説明するとともに、完成した後も堆積した土砂を撤去したり、カメラやセンサーで監視していることを説明。大雨が降った時には河川に近づかない、ハザードマップで危険な箇所を事前に確認するなど、災害から身を守るために気を付けることを生徒に説いた。

 午後から行われた体験学習は、坂口建設株式会社が施工する蒲牟田砂防施設見学施設工事の現場で開催。現場代理人が、既設の砂防堰堤付近まで通じるスロープや広場の整備、レンガ舗装といった工事を行っていることを説明し、レンガの製造等を手掛ける創宮株式会社が、地元の粘土と火山灰を使用したレンガの製造工程を紹介した。

 生徒達は、職人とともにレンガを設置し、その隙間に特殊な砂を敷き詰める作業を体験。また、模型を使った実験で、砂防施設が土砂をせき止める役割を果たしていることを確認した。付近のストックヤードでは、現場で発生した玉石を同じ現場の護岸等で使用していることや、根固めブロックの使用方法について説明を受けた。

 参加した6年生の生徒は、「砂防がしっかりと街を守っていることが分かった」「多くの人達が協力して、砂防を造っていることを知り、ありがたいと思った」と話し、出前授業や体験学習を通じて「砂防博士になれた!」と笑った。

 女性の会の宮島会長は、中長期的な担い手の確保・育成が喫緊の課題である中、会の活動方針に掲げる「育てる」の一環として取り組んだ事業であることを説明。「幼少期から建設業を正しく理解してもらうことが必要」としたうえで、「今回の出前授業と体験学習が、建設業に興味や関心を持つきっかけになれば」と期待を込めた。