▲写真は授業の模様
伝統的な治水技術である延岡市北川町家田地区の「霞提」について実践的に学ぶ授業が、宮崎県立延岡工業高等学校で行われている。授業は、第一工科大学(鹿児島県霧島市)と連携して実施。11月20日には、土木科の3年生8人が、地形図上に霞堤の模型を作成し、氾濫時の水の流れなどを確認した。
霞堤は、堤防のある区間に開口部を設け、上流側の堤防と下流側の堤防が二重になるようにした不連続な堤防。洪水時には開口部から水が逆流して堤内地に湛水し、下流に流れる洪水の流量を減少させ、流域全体の安全を守る役割を担う。洪水後には、開口部から堤内地に湛水した水を排水する。
近年多発する豪雨災害への対策として、こうした伝統的な治水技術が顧みられている。伝統的な技術の伝承に寄与するとともに、持続可能な社会づくりに資する若手人材の育成を目的として、授業には、第一工科大学工学部環境エネルギー工学科の本田泰寛教授と寺村淳准教授が講師として参加している。
生徒達は今年7月から、家田地区の霞提を実際に見学したり、地域住民から話しを聞くなどして、伝統的な治水技術や過去の災害について学んできた。
20日に行われた授業では、粘土を使って扇状地霞提、氾濫原霞提、家田霞提の3つの模型を作成。それぞれ上流から水を流して、急勾配と緩勾配でどのように水が流れるのか実験した。また、堤防が決壊した場合でも、水は少しづつしか溢れず、被害がでない仕組みなどを体験した。
参加した生徒は、「霞提が洪水から街を守ってくれていることに感謝したい」「昔の人の土木技術は凄いと思った」などと話した。