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大規模災害時の対応や連携確認 西都・児湯で防災訓練

      

▲写真は道路啓開訓練、展示ブースの模様

 南海トラフ巨大地震の発生を想定した2023年度の「宮崎県総合防災訓練」が、11月5日に西都市及び児湯郡、日向市の各会場で行われた。メイン会場の小丸川河畔運動公園及び河川敷では、道路啓開や救助・消火活動、高圧発電機車空輸、映像伝達といった実動訓練を実施。災害発生時の役割や組織間の連携体制を確認した。

 県では毎年、防災関係機関や地域住民が参加する総合防災訓練を各地で開催。今年の訓練には、県や関係市町村、自衛隊、警察、消防、指定地方行政機関、指定公共機関、指定地方公共機関、協定締結団体・企業など約100機関から約1000人が参加した。

 訓練では、日向灘を震源とする巨大地震の発生を想定。道路啓開訓練では、多量の土砂が堆積した道路を宮崎県高鍋土木事務所が封鎖。宮崎県測量設計業協会は、ドローンを飛ばして上空から被災箇所を確認し、宮崎県法面保護協会は法面の安全性調査を行った。

 高鍋土木事務所から応援要請を受けた高鍋地区建設業協会は、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所が所有する「簡易遠隔操縦装置」(ロボQS)を取り付けたバックホウを手元のコントローラーで操作して、道路上に堆積した土砂を迅速に撤去した。

 その後、参加した会員が手作業で道路を均すとともに、フォークタイプのアタッチメントを装着した小型の建機が、道路上に積み重なった大木を道路脇に除去した。このほか、宮崎県舗装協会は、障害物が撤去された道路の清掃を行った。

 実動訓練では、自衛隊が所有する輸送ヘリコプター(通称=チヌーク)に電力会社の高圧発電機車を吊し、災害で孤立した地域に車両を空輸する訓練も実施。警察や消防、自衛隊が連携し、座屈倒壊ビルや横転した電車、埋没車両からの救助訓練に臨んだ。

 また、西都市コミュニティセンターや高鍋町体育館、新富町の複合型津波避難施設、木城町の学校施設等では、広域避難受入訓練や避難所の開設・運営訓練を実施。日向市のお倉ヶ浜や高鍋町の県立農業大学校等では、支援物資の輸送訓練が行われた。

 メイン会場横の防災展示ブースでは、宮崎県電業協会が発電機を設置し、各団体のブースに電源を供給するとともに、地震を自動検知して通電火災を防止するブレーカーなどを紹介。宮崎県建築協会は、熊本地震で倒壊した家屋の写真をパネルで紹介し、災害への備えや耐震化の重要性を訴えたほか、来場者に防災グッズを配布した。

 このほか、宮崎県県土整備部技術企画課は、県が進める強靱化の取り組みをパネルで紹介。国土交通省九州地方整備局は、流域治水の取り組みを紹介するパネルと合わせて、災害対策本部車や雨水貯留層を展示し、VRによる防災ヘリの搭乗体験も行った。

 当日はこのほか、高鍋町役場で電力・燃料供給訓練、高鍋町内の中核SSで緊急車両への優先給油訓練、高鍋町中央公民館で災害ボランティアセンターの運営訓練、県立農業大学校の体育館で検視・検案訓練、メイン会場で緊急通行車両標章交付訓練も行った。