▲写真は見学会の模様
旭建設株式会社(黒木繁人代表取締役社長)は、同社が施工する国道327号永田工区道路改良工事の地盤改良工事で、県内初となるICTを活用した中層混合処理工「パワーブレンダー工法」を採用している。9月27日に地方自治体や建設会社の技術系職員、同社社員を対象とした現場見学会を開催し、工法の特徴や施工手順等を説明した。
パワーブレンダー工法は、 セメント系固化材等の改良材を軟弱土に全層鉛直方向に強制的に撹拌混合し、連続して安定した改良体の造成を可能とする地盤改良工法。バックホウを改造したベースマシンと、トレンチャー式攪拌機で鉛直方向に攪拌しながら連続的に水平移動することにより、互層地盤でも連続かつ均質な改良体を造成する。
改良可能深度は13m程度。バックホウベースであるため、深層混合処理機と比べて機動異性が高く、近接施工や狭隘な現場での作業が可能。大がかりな重機仮設足場も必要としない。改良体は土留として利用できるほか、エコクロムを使用することで、六価クロムも抑制できる。NETIS登録番号はKT-180040-A。
施工に際しては、様々なICT機器を駆使して、高精度な出来形管理を実現する。専用の施工管理装置には、チェーン速度や累計移動距離、改良深度、圧力、水平位置に加え、トレンチャの計画位置をモニタリングできるナビゲーションを搭載。GNSS記録にチェーン速度や羽切回数等、帳票を出力でき、写真管理も一部省略できる。
見学会では、監理技術者の樫本健吾氏と椎葉篤史氏が工事概要や進捗状況のほか、こうした工法の特徴や作業手順等を説明。その後、三次元設計データ作成やプラント、ICT施工による地盤改良作業の様子等を見学した。
樫本氏は、地盤改良にICTを活用するメリットについて、施工場所での区画割りが不要となり、手間が省けることや、区画割りごとの出来形管理が不要であること、重機オペレーターが車載モニターをリアルタイムで確認できるため、安心・安全に施工できることなどを挙げる一方、さらに施工性を向上させるための改善案なども示した。
その上で、「現場の作業を如何に省力化できるかが、ICT施工をするうえで重要になる」として、現場の状況に応じた工法等を検討してもらうよう参加者に呼び掛けた。発注者である宮崎県日向土木事務所の中村康輝主査は、ICT施工にもメリットとデメリットがあることを指摘し、これらを的確に把握して活用してもらいたいと話した。
当日はこのほか、無人化バックホウの体験会も開催。コントローラーの操作方法について説明を受けながら、参加者が掘削作業を体験した。