▲写真は金丸誠悟部会長、大会の模様
県内11地区の建設業協会青年部で組織する宮崎県建設業協会青年部連合会(金丸誠悟部会長)は、都城市内で第35回青年部連合会「都城大会」を開催した。特別講演や基調講演、大会宣言、懇親会を通じて、各地から集った建設若人が絆を深めつつ、社会資本の担い手、地域の守り手としての責務を全うしていくことを誓った。
大会には、各地区の青年部員や来賓ら約200人が参加。大会スローガンには「建設DXに挑戦!今、建設業が変わるとき!~地元宮崎の仲間と魅力ある建設業を創造していく~」を掲げ、建設DX等の新たな取り組みに挑戦し続けるとともに、培ってきた技術や経験を次世代に継承し、それらと上手く共存させていくことを目指すとした。
主催者挨拶で金丸部会長は、あらゆる産業に影響を及ぼしたコロナ禍を契機に、さらなる加速を見せる働き方改革やi-Construction、インフラDXへの取り組みなど、建設業界が新たな時代の転換期を迎えていることに言及。しかしながら、建設業を取り巻く担い手不足などの課題解決には至っていないと指摘した。
一方で、道路や河川、ダムといった社会インフラは、国民の生命や財産を守るために必要不可欠であり、「インフラ整備に携わる我々は、地域の守り手として社会的役割を果たすため、i-ConstructionやインフラDXなどに挑戦し、希望ある建設業の創造を目指し、今後も活動していかなければならない」と強く訴えた。
主管者挨拶で都城地区建設業協会青年部の木脇伸博部長は、将来の担い手不足や現場で生じる不便さの解消が課題である建設業に於いて、「建設DXを取り入れることが重要であると分かっていても、実際に実行することは容易ではない」として、今大会が建設DXを学ぶ場となり、各社の建設DX化の一助になることに期待を込めた。
さらに、建設業界が大きな変革の時を迎えていることや、地域の守り手である建設人が果たす役割の重要性に触れ、「まずは立ち上がり、一歩踏み出すことから始めよう。その進む先には、かけがえのない仲間(建設人)がいる。手を取り合い、この宮崎の大地を我々の手で作り、明日の建設産業を盛り上げていこう」と呼び掛けた。
来賓祝辞で宮崎県の河野俊嗣知事は、引き続き、インフラ整備を進めるための財源の確保や担い手確保に向けた支援等に努めていく考えを示すとともに、「建設業の果たす役割を若き力で支える青年部の役割は大きい」として、「青年部の発展が本県建設業の発展、ひいては安全・安心な地域づくりに繋がることを祈念する」と述べた。
宮崎県議会の濵砂守議長は、「次代を担う青年部の皆さんに本県の建設業を牽引してもらい、県土の発展へ一層の尽力を御願いしたい」と挨拶。国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所の松村知樹所長は、「魅力ある建設業、持続可能な建設業の実現に向けて、皆さんと一緒に取り組みを進めていきたい」と述べた。
宮崎県建設業協会の藤元建二会長は、「当協会は青年部あっての協会」であり、「明日の建設業を担う若い方が、希望のある業界として活躍していくためにも、青年部の皆さんがその先陣をきって、希望ある未来を切り拓いてもらいたい」と呼び掛けた。
大会宣言で都城大会の徳満英裕実行委員長は、今大会のテーマを踏まえ、「働き方改革や建設DXなどの新たな取り組みに挑戦していく」「建設業の存在意義やものづくりの魅力、仕事のやりがいを常に発信していく」「未来がある・魅力がある・夢中になれる・宮崎を守るの4Mを掲げ、地元宮崎の発展に貢献する」と決意を語った。
大会ではこのほか、次回大会を延岡地区で開催することも発表した。
■竹林氏が特別講演、建設DXテーマに講演も
特別講演では、国土交通省大臣官房技術調査課建設技術調整室長の竹林秀基氏が「公共事業を巡る最近の話題~建設業の新3Kに向けて~」をテーマに講話を行った。竹林氏は、熊本大学大学院修了後、1999年に国土交通省(当時の建設省)に入省し、2014年から2年間、宮崎河川国道事務所長を歴任した。
講演で竹林氏は、公共事業関係予算の推移や建設業に於ける働き方改革の取り組みについて説明。「きつい・汚い・危険」の旧3Kから、「給与・休暇・希望」に「かっこいい」を加えた建設業の新4Kを実現するため、給与・休暇・希望のそれぞれの視点から、国土交通省が進めている様々な取り組みについて解説した。
さらに、BIM/CIM活用や建機の自動化・遠隔化、パワースーツ等による現場作業のDX、新たな出来形管理基準の検討といった「インフラの作り方の変革」のほか、AIやデジタル技術を活用した「インフラの使い方の変革」、国土交通データプラットフォームの構築といった「データの活かし方の変革」の取り組みも紹介した。
一方、基調講演では、主に中小建設業のDX推進を支援する全国建設業DX推進会で幹事を務める曽根淳氏(石田データサービス株式会社経営企画室部長)が、「建設DXのすすめ」をテーマに講演。昨今、世界的に高い注目を集めるChat GPTをはじめとした生成AIを切り口に、建設DXに取り組む必要性を訴えた。
講演で曽根氏は、リモートワークの導入により、燃料費や光熱費、労働時間の大幅な削減を実現し、売上高や社員数、中途・新卒応募者数を大幅に伸ばした企業の事例を紹介。今後、デジタル教育を受けた若者(デジタルネイティブ)が社会に出てくる時代に備え、建設業に於いてもデジタル教育が重要になるなどと説いた。
曽根氏は、DX化に向けた第一歩として、中小零細企業でもすぐに導入できるZOOMやLINE WORKS、Microsoft TeamsといったスモールDXの取り組みを推奨。その上で、DXを進めていく順序を解説し、まずは、データを活用して業務をデジタル化する「デジタライぜーション」まで進めることを提案した。